第70話 みーつけた
土曜日本日三話目です。
・ふわああ、おはよ。
あれからもう一眠りして、日の傾き具合から見ると、2時間くらい寝てたのかな?
すぐ隣に動かしていないコップがあるから、日時計がわかりやすいな。
一日中ねていると、ぐだぐだの怠惰ルートに入りそうだし、少しくらい散歩をしようかな。
「みんな、ちょっと屋敷の周りだけでも散歩をしようよ。」
ノアルアは起き上がり、スラリンとスラレンはぷるぷると震えた。
ついでに近くにスズランがふわふわ浮かんでいる。
スズランに関してはいつから起きてたんだろうな。
まあいいけど。
薄いシートをたたみ、散歩を始めた。
目的も何も無く歩くのもアレだし、四つ葉のクローバーでも探そうかな。
歩く歩く、風と太陽を感じながら歩く。
時々周りに水を散布する。
こんな気持ちの良い日なんだ、植物たちにも気持ちよさのお裾分けをしないとね。
テクテクテクテク
ポヨポヨポヨポヨ
ザッ ザッ ザッ
周りに魔物達を侍らせて、一緒に行進する。
まるで某童話の音楽隊みたいだな。
「ルンルルンルルーン 僕たち四つ葉の捜索隊 ただひまだから探すんだい 後ろのみんなはお友達 1・2・3・4・あれ足りない うーんとうーんと羊が足りない やばい忘れてた うーむうーむどうしよう 怒ってるかな 怒ってるよね よし、今は忘れよう 楽しい楽しい捜索隊」
るんるんるんるん歌っていると、スラリンとスラレンが飛び跳ねたり、ノアルアが適度にバサバサしたりしてた。
(あのさ、エル。 どうせ歌うなら声とか喉に魔力を集めてみたらどうだ。 おもしろいことが起こると思うぞ。 多分。)
スズランの方から念話が届くなんて珍しいな。
せっかく教えてくれたことだし試してみようかな。
でも、適当に歌ってたから、どんなことをいってたか、全然覚えて無いんだよね。
まあいいか。 とりあえず、スズランの助言に従って試してみよう。
「ルンルるンるるん 僕らは四つ葉の捜索隊 歩いて歩いて探すんだい テクテクテクテク ポヨポヨポヨポヨ 出てこい出てこいクローバー 苦労したけど苦労がパー 出てこい出てこいクローバー 出ない徒歩脳をばらまくぞ」
さっきとは違い、声や喉に魔力を流して歌ってみた。
何かが起こるのかな?
屋1,2分くらい歩いたかな、なぜか魔力を感じて引き寄せられるような感じがしたんだよね。
引き寄せられたのは、何の変哲も無い雑草の草原であった。
きちんと見るためにしゃがんで観察を行うこととした。
観察をしていると、巨大なジャゴケと四つ葉のクローバーを見付けた。
まあ、巨大といっても子供の手のひら程度の大きさなんだけどね。
ちなみにジャゴケって言うのは、コケの一種で、表面が蛇の鱗の様な見た目をしているコケのことなんだ。
そして、四つ葉のクローバーも一緒に見付けたな。
何か引き寄せられるような感じもあったし、これがさっきまで歌っていた歌の効果なのか。
なんて言うか、使い道の多そうな魔法だな、これを魔法と言うのかどうかは疑問なのだけれど。
そういや、この四つ葉のクローバー、どうやって保存しよう
探し始めた当初は、ただキッカお姉ちゃんに、押し花のしおりをプレゼントしようとしただけなんだけど、しおりの作り方が分からないんだよな。
(スラリン、しおりの作り方って知ってる?)
(うーん、ビニールとかフファイルを使わないやり方は分からないな。 さすがにプラスチックは無い門な。)
本当そうなんだよな。 プラスチックが欲しくてたまらない。
(あのさ、僕らの体液を使えば?)
珍しくスラレンから念話が届いた。
確かに、スライムの体液なら透明ともいえるのかな。
うん、どうせ失敗したって死ぬわけじゃ無いんだ。
できるだけ試してみようか。
どうせなら竜の因子も混ざってそうなジャゴケも混ぜて、
四つ葉のクローバーを採集し、周りにある本当に小さな花を混ぜつつつデコレーションする。
草花の張り付ける板代わりにジャゴケを利用し、デコレーションが終わったら、スラルンの体液でコーティングする。
軽く川化しつつ、両面均等になるよう重力いや、圧力をかけていった。
スライムが完全に透明という訳では無かったから少しカラフルになってしまったが、しおりが完成した。
よし、この散歩が終わった後、キッカお姉ちゃんにこれを渡しに行こう。
それからもいくつか、見覚えのある花やコケを見つつ、散歩を終えた。
シートももう片付けたことだし、突風で草を落としつつ屋敷へと戻った。
2階へ挙がり、キッカお姉ちゃんの部屋の前へとやってきた。
コンコンコン
「はーい、どうぞ。」
「お邪魔します。」
「あら、エルじゃない。 今日はゆっくりしていたのでしょ、疲れは取れたかしら?」
「うん、大丈夫だよ。 心配してくれてありがとう。」
「お姉ちゃんなんだから心配するのは当然よ。 それでエル、今日は何か用事があって訪ねてきたの?」
「うん、ちょっとキッカお姉ちゃんにあげたいものがあってね。」
「へー、私に渡したいものね。 何かしら。」
僕はここで、先ほど作ったしおりを取り出した。
「じゃーん、しおりだよ。 それも四つ葉のクローバーなんだ。 見付けるのに苦労したんだよ。」
「エル本当に私にくれるの。 とても嬉しいわ。 ありがとうエル。」
キッカお姉ちゃんはこれを見てとても喜んでいるようだった。
うんうんこれで少しは最近の忙しさのお礼にはなったかな。
「うん、最近いろんな依頼をしてたから、ほんのお礼だよ。喜んでくれたみたいで良かった。」
「もう、それは依頼なんだから気にしなくてもいいのに。 でもありがたくいただくわね。」
いやー、ちょっとしたお返しだったけど、とても喜んでくれたみたいで良かったよ。
数日後、キッカお姉Fちゃんにあげたしおりがうらやましがられて、ほかの皆から頼まれ、腰が痛くなるほどクローバー探しになるとは、このときは思っていなかった。




