第35話 父さんがおばあちゃんに聞けと言った理由
本日二話目です。
・目の前には、古びた執務室と小さく書かれている扉がある。この扉の奥から、この屋敷の中で最も大きな魔力を感じる。
おばあちゃんが言うには、僕らのことに気づいており、邪魔な相手を誘い出すために魔力を解放しているのだろうとのことだ。普通、このレベルの魔力の持ち主が魔力をダダ漏れにしているようなことはあり得ないのだそうだ。
おばあちゃんを先頭に、扉を開けた。
「うわ、来てほしくない人物が来てしまいましたね。」
この部屋の中には、普段着を着た骨がいた。念のためだろうが、骨の足下には1メータ ーほどありそうな杖が置いてある。 その骨は、おばあちゃんを見て、先ほどの言葉を放った。きっと、おばあちゃんの事を 知っていたのだろう。
「あれは、リッチだね。魔法を使う骨だよ。あと、そこのリッチ、来たのがあたしで悪かったね。
「本当に、全くです。知能ある元人間として、あなた方に敵対するような愚は起こしません。ですが、きっと討伐依頼などがあり、追いかけてくるのでしょう。ですが、私も死霊になった時点からあなたのことは警戒していました。ドラゴンゾンビ一体くらいの守りなど突破できるつもりです。」
この台詞を告げると、大量のゴースト傾倒の魔物が集まってきた。そして、リッチが後ずさりを続けるたびに、このゴースト達がひとかたまりに集まって合体してゆく。
「なるほど、逃げるための秘策はレギオンゴーストか、確かにこのチョイスであれば私を足止めできるだろね。・・・・ただね、死者をぞんざいに扱うようなことは許さないよ
。とは言いつつ、これは正直都合がいい。エル君この魔物の魔力量を見てみて。」
おばあちゃんが、特に焦ること無く落ち着いていたので、僕も焦らず落ち着くことが出来た。
この魔物の魔力量ね。おばあちゃんが言うからには何かあるのだろう。気合いを入れ観察してみると。
レギオンゴースト Aランクオーバ大体24くらいかな・・・え、24。僕が12から13位だから追いつかれているじゃ無いか。
「アルベルトの言っていた魔力を利用した浸透系の攻撃というのは、元々この魔物の技を きっかけとして生み出されたんだ。このレギオンゴーストの魔力量を見たんだよね。この 魔力量は、極端な話だけど、1+1+1+1+1みたいなものなんだ。実際にはそれなりに無駄は あるのだけれどね。でも、家族だけで構成された、レギオンゴーストなんかは、これ以上 の魔力量になっていることもあるんだ。先ほども話したが、この魔物の攻撃を参考にされ たのだが、その参考にしたという攻撃は、体の内側に入り込み、精神を汚染しつつ、ただ 魔力を解き放つ、というものなんだ。
確かに、精神、つまり抵抗しようという意思を邪魔しつつ、魔力をあふれさせる。単純ながら恐ろしい攻撃だ。
「え、え、どうするの。やばいじゃん。リッチにも逃げられちゃうし、この魔物も倒せないしじゃん。」
ぼくが、焦ったように聞くと、おばあちゃんはあっけなく答えた。
普通にあの程度の魔物なら倒せるけど。
僕もまだまだこの世界の常識は足りない。ただ一つ思うことがある。
この台詞を聞くたびに、周りの人たちは、これだからアンネリー家は、とか思っているのでは無いだろうか。
「リッチの方は逃げられないから、放置していて大丈夫だよ。これに関しては、エル君を連れてきてよかったと思うよ」
最後の一言の意味はわからなかったけれど、この世界に来て初めての戦いを見れると思うと、楽しみな気はある。例えるならば、スポーツを至近距離で観戦しているような感覚
だ。
リッチは逃げ、レギオンゴーストから雨のような弾幕の攻撃を放ってきた。黒紫のボール型の魔法だ。一般に、闇球と呼ばれるものだろうか。
この魔法に対し、おばあちゃんは闇色の結界で防御を行っている。
魔力量の多いレギオンゴーストが弾幕攻撃を行い、魔力量の少ないおばあちゃんがそれを防いでいるのだろう。
魔力を意図的に見ていると、おばあちゃんからレギオンゴーストに向けて、念話に近いような、でも、嫌な感じのする魔力が、レギオンゴーストへ向かって飛んでいる。
レギオンゴーストは自分の弾幕攻撃のせいでそれに気づいていないのか、自然と受け入れ、もがき苦しんだ。
おばあちゃんは、ここで、少し笑い。
「ドレインボム」
とつぶやき、結界を強化した。
その瞬間、光と爆音が部屋中を照らした。
少しして、目を開けると。大きな魔石のみがそこに残っていた。
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