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デス・チェンジ  作者: 照綱
第壱章異世界編 初めての異世界救済
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第四話 異世界について

「この世界は、四つの大陸に分かれているの。ちなみに後の面は全て海と思ってくれてもいいわ。孤島などもいくつかあるけれど、それを話してしまうとキリがないので、今回は大陸だけ。それで、その四つの大陸は、それぞれで五つの国に分かれる事を二千年前に決めたらしいわ。しかし、そこで引っかかるのは四つの大陸で、五つ国を作るという点。明らかに一つ大陸がたりないのだけれど、何百年もの争い、議会の末、一番大きい大陸を二つに分ける事にしたの。それで決まった国の名前は、まず私達がいるここ、『ガーネット王国』。北西の方角に存在していて、ここと『スフェーン帝国』がさっき言った一番大きい大陸を分けた末の二つの国。それで、『ガーネット王国』はとにかく戦力が取り柄で、もし戦争になったとしたら、間違いなく、ここが勝つでしょうね。しかし、戦力はあっても資材や物資、王国を維持する金銭がここには足りない。だから、四つの国から協力態勢で資材などを貰っているわ。しかし、その協力態勢もいずれ崩れるような不安定なものだから、『ガーネット王国』はその前に手をうとうと試行錯誤している。そんな感じよ。でも、『ガーネット王国』には国の妨害を防ぐ為にある構成で役職を作っているわ。まず、ギルドからなる商業で、兵士、戦士、冒険者とあるわ。『兵士』は、国を守る事を第一に考えて行動する防衛軍よ。だから攻撃はせずに、なるべく街を中心的に動いているわ。壁の上から敵が来ないか見張ったり、街中の騒動に対応すべく、所々で見張ったり、人が危ない状況になった時、助けたりするなどをやっている印象だわ。でも今は『スフェーン帝国』に対しての警戒が強すぎて、街中の騒動を少し疎かにしてしまっているわね。まさに私達のあの件とかね。次に『戦士』。『戦士』は、国の為に命を捧げて戦う、つまり攻撃軍ってこと。彼らは基本的に他国への行き来は自由だから、他国の状況確認、弱みを握れるなら握るという目的で、怪しい商売などに手をかけていたりしていないかの確認、そして、他国が攻めてきた時の攻撃部隊。それが『戦士』の役職。最後に『冒険者』ね。『冒険者』は、大体の仕事は『戦士』とあまり変わらず、国外の調査などをしているわ。でもそれとは違って、五百年前に『魔王』が現れて、その『魔王』の影響で、そこら中に魔物が出るようになったの。『冒険者』は、それの駆除が主な仕事となっているわ。その為、彼らには剣や弓、魔法などに特化した人達が多いわ。そっちの方が連携がしやすいらしいからね。後はその魔物と、世界の知らない物の調査。これも主な仕事の一つね。『魔王』は本当に得体が知れないから迂闊に手を出したりする事は出来ないのよ。だから、調査を重ねて、いつか滅さんとする。それが、『冒険者』。ギルドからは以上で、後は大体は街中での商売などが仕事。自分で経営するも良し、王国からの許可を得て、公式的な商売をするも良し、と言った感じね。ちなみにガーネット王国は街が四つに分かれていて、私達がいるここ、『ペリドット中心街』、その下にある『ルチルクォーツ南西街』、その右に『ガーネット王国』の主柱となる『ガーネット都市』。それを覆い囲むように、『パール平民街』があるわ。他にも貧民街が至る所に存在しているけど書籍上にはなかったように記録されるわ。『ガーネット王国』はそれで以上。でも、私も『ガーネット王国』については詳しく教えられたけど、それ以外の国にはてんで知識が乏しいから、分かる限りで説明していくわ。『スフェーン帝国』は、地図上では中心に位置していて、さっき説明した様に『ガーネット王国』と地が繋がっているわ。敷地としては、『スフェーン帝国』が『ガーネット王国』より少し大きい。つまり世界で最も大きい国だわ。『スフェーン帝国』は帝国だけあって、統率力は格が違うわ。その洗練された立ち回りは、他の国からもかなりの厄介者として見られているわ。しかも統率力だけじゃあきたらず、武器や財産なども群を抜いて所持しているから、『ガーネット王国』にとっての最も協力したい国であり、最も互いの嫌悪が強い国。それが、『スフェーン帝国』。しかも気迫が強く、隙がないから交流や貿易などがあまり友好的に行えないっていう所もあるわ。元々がかなり充実しているから周りからの手助けはいらないのでしょうね。次に私も一度行った事がある、『マラカイト王国』。南西の方に存在する最も技術が進んだ交流国よ。街並みも他とは違ってとても変わっているし、最近では通信機器?なるものが発明直前まで来てるそうよ。まあ、通信なんて魔法とかを使えば解決できるから、そこまで必要には感じないけれどね。この王国は『スフェーン帝国』とはまるで違って、とても友好的で接しやすい人達が集まっているわ。恐らくそこは大体の制限が緩いから、『ガーネット王国』や『スフェーン帝国』のようにきつく制限などを申し付けてクズみたいな人を放り投げたりしないわ。誰に対しても優しく寛容にそれでいて誠実に対応してくれるの。私もあそこに行った時はいくらか気分が晴れたのが事実。しかし、あそこは地形がかなり複雑だから、危険な地帯が多いの。だからあまり住み暮らしは他国と比べて悪く。行き来が本当に面倒くさいの。だから、あそこに移住するのは、とてもじゃないけど拒否したいわね。それと、あの国は少し空気がおかしくて、魔物の臭気があちらこちらに流れているわ。だから、魔物が住みやすく、至る所で放置されているわ。これも踏まえて、私はあそこには二度と行きたくないと、そう思っているわね。戦力としては他国と比べると非力で、財産にしてもそこまで持っているって訳でもない。珍しい品物は結構揃っているのだけれど、所詮そんな所。だからあの国は人柄だけしか良い所がない、一番脆弱な国として名高っているわ。そして次に財産、物資などの交渉に関してはトップの立ち回りを見せる『ソーダライト王国』。北東に存在していてさっき言った通り、最も交渉や貿易が上手く出来るからいざという時にあっという間に相手を手玉に取る事が出来る。交渉術なら、間違いなく『ソーダライト王国』が一番の天敵となり得るわ。しかし、戦力面は乏しく、『マラカイト王国』とどっこいどっこいってくらいの実力。そうでもないってことよ。それで財産や物資については意外にもそこまで所持はしていないみたい。確か、隙を突かれやすくなってしまうからなるべく最低限で効率的な国の回し方を目指す為にそういう対策をしているらしいわ。全く、交渉に関しては抜かりがないわね。それで最後に『ガーネット王国』と逆の位置にある南東の『ネフライト王国』。ここは、他とは違って殆ど素性を明かしていないから全く分からないの。それでいて、噂話などもされないから本当に未知の王国なのよ。この国に関しては説明などはとても出来ないわ。でも、確かその国には『魔法石』がとても多く存在するわ。他の国でも滅多に見当たらない代物で、どんな状況でも、その石を持っているだけで、自分の求めた事が叶うという話は聞いている。そんな石があの国には大量に存在するの。だから、素性が不明なのかもしれないけどね。それで全ての国の説明は終わったのだけれど、この世界を知る上で欠かせない事、『魔王』については、聞いておく?あなたに任せるわ。どうするの?」


 ーーと、異世界の国についてを教えられた訳だが。


「ルーフレア、一つ、言いたい事がある」


「何?国については出来る限りは話したつもりよ」



「今の話、途中からほとんど頭に入らなかったぞ」


「ーーー」


「あの、ルーフレアさん?」


「殺すわよ」


「それは理不尽すぎないか!?」


 実際、かなり長い説明を聞いた気がするのだ。別にわかりやすく重要な所だけ端的に話してくれればそれでいいのだ。しかし、一応説明はしてくれたので、なんとか自分の中で整理し始める。


「分かった。出来るだけ整理する。えっーと、まず、この世界では大陸か四つあって、その中で五つ国ができた。それで、その国々は互いの協力をしてやってきてはいたものの今は互いに少し対立状態。一つずつ国を言うと、

戦力自慢の資材不足、北西にある俺らが今いるここが

『ガーネット王国』。

統率力に長けた圧倒的資材、中心部に位置するのが、

『スフェーン帝国』。

人柄は良く、技術の発展が他とは群を抜くが、それ以外がダメダメで信頼が薄いのが、南西部に位置する

『マラカイト王国』。

戦力は大した事は無いが、効率的で交渉術の達人。北東部に位置する、

『ソーダライト王国』。

『魔法石』が大量に取れる以外素性が分からない南東部に位置する

『ネフライト王国』。

んで、そんな国々の協力や争いを邪魔してくるのが、『魔王』。ーーそんな感じか?」


「全くなっていないわ。本当に理解してるの?また一から説明しなきゃね。ーーこの世界は、四つの大陸に分かれているの。ちなみに後の面は」


「お前またあの説明する気かよ!勘弁してくれ!分かった!後はなんとかこれから少しずつ理解していく事にするよ」


「ふん」


 話し足りなかったのか、彼女はとても不満げな様子だった。

 しかし、何かと異世界らしくもない。てっきり魔王なんかに支配されているものかと思ったが、魔王はどうやらただの邪魔者、否、かなりの邪魔者扱いとされているらしい。まあ、魔物が至る所から出現させてくるのだから、それはそうだなと思ったが。



 ーー勇者みたいな存在はいないのだろうか?



「なあ、この世界って勇者みたいな奴っているのか?もしかして、それも職業の内だったり?」


 まとめる時に言い忘れていたが、『ガーネット王国』では、ギルドから仕事選択ができるとの事だ。

 そのギルドから国を守る『兵士』、国の為に戦う『戦士』、世界の謎を探る『冒険者』と分かれているらしい。ーーだからもしかしたら『勇者』も仕事の内なのかもしれない、そういう推測をした。


「ユー、シャー?知らないわ。なにそれ、食べ物?」


「お前、知らない単語の語尾伸ばすの好きだな。ーーいいや、食べ物じゃない。なんで食べ物なんだ。勇者っていうのはいわゆる英雄だ。救世主って言う言い方でもあるか?」


「英雄……。確かに知っているけど、おとぎ話の伝説でしょう?英雄なんていたとしたらそれはご都合主義な気がするわね。そんな都合の良い人は、ーーこの世界にはいない」


「ーーー」


 異世界の人直々に言うのだ。多分、いないのだろう。それにご都合主義と勇者に対してとらえていた。だから、この世界で生きていくのはかなり困難を極めるのだろう。

 ーーそれは、日本育ちのゆとり世代、「石垣 龍太」にはかなり恐怖を感じるものだった。


「そう、か。そこまで言うならいないんだな。良し、大体分かった。ありがとう。とりあえずルーフレア、家に、ーーって家出してるのか。街で友好な人の家、ーーいないのか。宿ーーここか。ん、なんだかお前、めちゃくちゃ状況やばくないか?」


「さっきそういったじゃない。だからあなたを頼っているのよ。あなたの住処とかはないの?あまり良い気はしないけど、我慢するわよ」


「あったらいいんだけどな。生憎俺は、ーー旅人だからな。ここら辺に住居は構えてねえんだ」


 異世界転移の件は、恐らく信じてくれない上に彼女の性格からして馬鹿にしてきそうだ。だから今は言わないでおく。


「旅人って…。だからそんなおかしな格好してるのね。だったらあなた『許可証』はどうしてたのよ」


 学校の制服を侮辱され、聞かれたくない質問を聞かれてしまった。ーーなんとなくあの亜人のおじさんの件は言わない方がいい気がした。


「素通りしたら、割といけたぞ?確かに兵士、かな。警備してたけど」


「どんだけざるなのよ。ーーあなたの事はあまり他言しない方が良さそうね」


 同感である。実際、こんな事知られたら監獄生活行き確定だ。厳しい国なんて、そんなものだろう。改めて、彼女の状況理解に感謝と同時に安堵した。


「私もあなたもダメ。ーーという事はしばらくは宿で生活していくしかないようね。といっても、そんな事していってると、いずれ私の金銭が尽きてしまうわ。それにあなたと一部屋で夜を過ごすなんて、まっぴらごめんだわ」


「警戒しなくとも、俺はお前にそんないやらしいことはしねえよ!それにお前みたいな美女に手を出すほど、ーー童貞に覚悟はねえよ」


「ーー美女?」


「あ」


 思った事をつい口に出してしまった。彼女な目はとてもキョトンとしている。

 確かにどう見たって、童貞には刺激が強すぎる美女なのだ。ルーフレア・フローライトという女は。出る所は出ていて、引っ込む所は引っ込んでいる。まさに一般男性が好みそうな体をしている。

 しかしそれだけに限らず、顔も少しつり目気味だがらそれを抜けば髪色とマッチしたとても可憐で美しいの美貌を放っている。ーーこんなの、直視できるわけがない。しかも、さっきに関しては下着の状態で近づいてきたのだ。考えるたび、尚彼女を意識する。しかし、


「なんだ、あなた結局クズだったのね。殺すわよ」


「誰だってあんな状況、動揺するに決まってんだろうが!!ふざけんな!」


 頑張って耐えたというのに、今も意識してる状況を異世界を知ることでそらせたりしていた。だからこそ、童貞にとって理不尽すぎる物言いなのだ。


「ふふ、冗談よ。確かに私は可愛いもの。もし家出してなければ『ガーネット王国』の姫として、候補にあげられるでしょうからね」


「自覚してる上に童貞を弄ぶな、ーー姫とは?」


「特に意味はないけれど、そうね。王国の士気などを高める為に、いろんな所で王国民を楽しませる行事を行ったりと、そういう事をする仕事。でも、あんまり楽しくないわ。自分の可愛さを実感できるだけよ。」


「へ、へえ…。なんとなく、分かった。ところでお前って何歳だよ?俺よりは年上な気がするが…」


「十五ね。十五。まだまだ育ち盛りだわ」


「へえ。十五か。十五ね、十五………。ーーーえっ?」


 驚きの年齢が出た。ここまでセクシーなのにも関わらず、中学三年生ほどしか人生を生きていないのだ。


「嘘だろ。おい……、俺十七だぞ?そんな成長できるものなのか」


 体的にも精神的にも、明らかに成長が早すぎるのだ。


「え、あなた年上なの!?そうなんだ。ーーー情けないわねその割には。余計見損なったわ。がっかり」


「そろそろ泣くぞ?俺も」


 それはそうと全く話が別の方にそれていたので、強引に戻し始める。


「まあ、とりあえずそれは置いておこう。さて、俺達はどうすればいいんだ?」


「まずは私達は生活もままなっていないわ。だから、お金を稼ぐ必要があるわ」


「仕事かあ。そうだな。兵士とか戦士って、どれくらい鍛錬したら様になる?」


「少なくとも五年ね」


「ああ無理ですね。分かりました」


「でも、冒険者なら何か特殊な能力や魔法があるならすぐになる事ができるわ。あなた、何か持ってる?」


「手品が出来ます」


「殺すわよ」


「無理なんだってわかるだろ!?そこら辺は俺には無理だ!」


 異世界ものは必ず何か自分の能力を最初から持っているのだが、生憎自分はただ、転移されただけなのだ。もしかしたら、自分の知らない力を気づかぬ内に持っていそうな気もしないでもないが。


「使えない。こんなの『相棒』にしたの、間違ってしまったわね」


「いいさ、別に他の奴と相棒になったってさ。俺は異世界について聞けたからそれでいいよ」


「それは、ーー嫌。あなたみたいに優しい人、やっと見つけられたんだもん」


「ーーー」


 胸が何かに貫かれた気がした。ただ今龍太は放心状態に入る。


「ーーー、しょうがない。他の売り屋とかの手伝いとかで稼いでいくしかないわね」


「ーー、はっ、それなら、ついでに色々『ガーネット王国』と『スフェーン帝国』についてとか聞いてみてもいいかな?」


「ーー、相棒、だもの。好きにしたら?」


「その言い回しやめて下さい。胸が苦しくなります」



 そうして、相棒二人は宿を後にした。







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