第零話 プロローグ
これが初投稿となります。
語彙力不足な点も多いですが、なるべく面白く仕上げたいです。よろしくお願いします。
俺はある夢を見た。
悪夢といっても差し支えないものだった。
それは実にくっきりと映り、やけにリアルで現実的だった。
* * *
目を覚ます、というよりは夢が見えたという言い方の方が正しかった。
とても鮮明に映り、まるで夢じゃないような感覚を覚える。しかし、鮮明に映っていたとしても、ここがどこかも分からず、まさに夢のようなファンタジーのような空間が広がっていた。
とても白い景色が広がっていた。といっても、区切りは付いていて円柱の形をした部屋に俺はいた。
そして、目の前の女性がなによりファンタジーを彩っていた。
黄色くて所々にピンクも混ざった長い髪。肌を腕と鎖骨部分を露出していて、胸元から太腿まで暗いピンクの布を身につけ、そしてそれと足を覆うように腰に濃い黄色いマントのような布を覆っていた紫色の目をした女性。
まず現実にはいないであろう服装だった。
その女性と俺は今話していた。
そんな記憶は、どこにもないのにーー。
「…ぐっぅ、…そんなの、正しいって、…っ思ってん、のか?」
「少なくとも私は彼女の望みの手助けをしているだけ。貴方に何の情も湧かせていないから、安心して」
「うっ、うぅ…、っおぐっぅ…」
「我慢する必要は無いのよ。貴方は死んでも大丈夫なんでしょ」
「大丈夫な、わけ、ねぇだ、ろ…」
女性は淡々と話しているのに比べて、どうしてか俺の発言は途切れ途切れだ。ーーそういえば、下腹部に違和感があった。
まるでレーザーで貫かれたかのように、腹の部分がすっかり無くなっていた。
「ぅっ...ぁああ...ぉっ......ぐぇっ...」
奇妙な呻き声を上げながら後ろへと後ずさる。まるで足の感覚が何処か遠い所へ消えたかのように。ーー感覚が麻痺している。
「ああぁ......ぅっ...うぇっ...ぁ...」
血を口から吹き出し、至る所の神経が遠のく。
硬直した足は立つ事を忘れて、その身体は倒れ込む。情けない姿には目を当てられない。
今何が起きているのか、どうしてこうなったのか、頭が回らないせいか、全てどうでも良くなっている。まだ視力が生きてるだけマシだと考えるべきか。否、考える事すらできない。
「貴方は優しいのね。そうやって抱え込んでしまうから、こうして辛い運命を辿るというのにね」
「ーーーーーー」
そして呻くための発声器官すらも機能しなくなり、視力もぼやける。身体の震えもおさまり、血も出し切った感覚を覚える。倒れた身体が自分とは思えなくなる。それもそのはず。
「ーーーーーー」
もうこの身体は、
「」
ーーー。
ーーーーーー。
ーーーーーーーーーー。
ーーーーーーーーーーーーーー死んでいるのだから。
◇ ◇ ◇
ーー脳は突如に働き出す。
肺は呼吸をする事を思い出し、五感を自分のものにしていく。
身体は意識を取り戻す。
身体に血が巡り、生きている感覚を取り戻していく。それは全て、一瞬での出来事だ。
「...ぉお。......っは!!?」
すぐさま起き上がり、周りを確認した。
目に映るのは見慣れたであろう場所だ。というより見慣れていなければおかしい。白い壁、木材の床、カーペットが敷いてあり、その上にテーブルが置いてある。さらにその上に小道具が散らばっている。
隣にテレビ、右を見ればキッチン...と現代では普通と言わんばかりの家の中の部屋だ。ただ、こんな見慣れていなければおかしい場所がどうしてかわからないのだが、
全て、『モノクロ』に見えた。
寝ていたソファーから起き上がり、固まった身体を伸ばして、精神を起こしていく。現実を見始める。
「...。頭いてぇ…」
あからさまな溜息を吐き、その場から足を動かして、二階へと階段で上る。ギシギシとはならないはずなのに、どうも音が聞こえてくる。
「辛い運命を辿る…か。本当に、どうしてなんだろうな」
上る際に、独り言を呟く。はたから見たら厨二病にしか見えない。
上った先には普通の間取りが広がっていた。しかし、扉の一つがあり得ないほどの青い光を放っていた。否、訂正。その扉の先の部屋があり得ない青い光を放っていた。
ーーー。
開けると左に本棚、右に色んなものが積み上げられていて、右奥には勉強机が設置されている。なんのことはない。普通の男子部屋だ。
しかし、普通とはかけ離れた物が部屋の中心にあった。珍しい模様が至る所に描かれており、それが廊下で見た青い光の根幹だ。異世界で言う所の『魔法陣』がそこにあった。そしてその上には"三つ"青い炎が浮かんでいた。
「…ルーフレア、…亜美菜」
一人は知らない名前、一人は知る名前を放ち、『魔法陣』の中心に立つ。
やがてその『魔法陣』は男子部屋の形状が分からなくなるほど神々しく光る。
光って、光って、光ってーーーーーー。
そして彼はこの"世界"から姿を消した。