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一匹の獣人が神になるまで  作者: 狐魂
第3章~その掌で踊る竜~
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一仕事終えて②

 現在魔力が無い。ロイド邸は森程ではないにせよ大量の魔力を持つ者が2人いるおかげでただ町に居るよりは魔力が潤沢にある。それでも少女の姿(家着)に戻れるまで回復するのに20分掛かった。スラム少女の姿でお風呂に入っていたのだがその間ずっと吐き気を堪えていたのだ。その辛さを表現するならば長距離マラソンで全力を出し切った様な状態が最適だと思う。因みにガルは50メートル走るだけでも息切れするくらい体力がない。

 という訳で寝て回復を計りたいのだが、魔力が無いと不安で眠れない。ついでに手袋のナイフポジション(ナイポジ)が悪い。


 なのでギルドに来た。仕方ないので10メートル以内なら離れられる英の特性を利用して、1ミリの裂け目によって隣の世界に行かせた英を呼び戻した。風呂も睡眠も初めからこうしていればよかった。

 中学生から大人までお小遣い稼ぎに利用され皆に愛されるギルド。今回ガルは魔力を回復する為に討伐系の依頼を受ける。ただの人間ならそんな事は出来ないがガルは例外、討伐した相手の魔力をそのまま最大量に加算出来るのだ。その筈なのだがどういう訳か50%しか増えない。理由は分かっているが…。

 「へっへっ脅かしてやろ」

 ガルの後方から現れた猿の手が虚しく空を掴む。

「何ですか野生の猿みたいな事して。叫びますよ?イヤらしい猿の手をした調教済みの猿と中学生の肩書きを持った純粋な若者だとどっちに天秤が傾くと思ってるんですか」

「せ…世知辛ぇなおい…」

 なんとなくあ、大丈夫だなみたいな顔をしているモン·キーこと猿…間違えた。調教済みの猿ことモン·キーが現れた。因みに霊長類だからって嫌っている訳ではない。しょうもない事をするこいつが悪い。

「な、これガル君だろ?それともちゃんがいいか?毎回ギョッとする程べっぴんさんで来やがって、こんなとこに来ると危ないぞぉ」

 そう言いながら手に持ったスマホには少女(家着)姿のガルが写っている。あ…牛の角が写ってるからあの時か。確か虎と片手間に会話した気がする。友達限定だな。友達判定緩くないか?…少女の区別がつきにくいな。隠す事でもないしアリ…いや亜理子にしとこ。意味は無いけど。

「そうですか。ところでライト(責任者)居ますか?」

「ちょ!軽い冗談だってば!許してくれ、な?」

「失礼。責任者(ギルドマスター)居ますか?」

「ほっ…マスターか…いつもの様に居ないな」

 仕事してないのか…それとも能力でどうにかしているのか。

「そうですか。それでは」

「待ちなってガル君。ここに来たっつー事は何か依頼受けに来たんだろ?あの凄い魔法が最適な依頼があんだがよ、どうよ?」


 直角ウサギ。名前の通り直角の角を持ちその角の方向目掛けて移動しながら生きる魔獣。他の動物とかも食べるが基本的に被食者。どうやら最近壊滅した村辺りを通って来たらしく本来減る筈だった群れが大繁殖してこちらに向かっているらしい。因みに若い人中心にバズっている。真っ直ぐ進む習性がバカワイイとの事。一直線に進むとは言うが大抵捕食者によって方向が変わりまくる。木等何でも食べる。

 「その、なんだ。俺が言うのも何だがよぉ…知らない人の車に乗っちゃダメだからな?」

「そんな事よりちゃんと免許持ってます?」

「持ってないと貸してくれないからな!」

 この世界、一応町から町への道は整備されているがそれ以外は人の手は殆ど入っていないのだ。外を走る車を止めたりする法律はないが基本的に居ない。魔獣の存在があるし何より町中で走る車には荷が重いからだ。もちろん魔導具なんて物があるくらいだから獣除けや結界を張る物もある。しかし今回借りた車の様に大抵は"弾く”事に特化している。理由は町の外を走るバスを見れば分かると思う。暴走族なんて目じゃないくらいに実用的な鉄の針とか装甲とかが装着されているのだ。偏に乗客の皆様の心の平穏を願っての事だろう。

 依頼内容は増え過ぎた直角ウサギによって生態系のバランスが崩れる事を懸念しての事らしい。約499匹にまで増えたウサギを駆除するのは並大抵の労力では足りないので報酬額もつり上がっていた。一般参加では無理だと判断された場合〈貫通〉のシキさん辺りに任されるのだろう。因みにギルドで依頼を受けた時に食券を貰った。車の中には実用的ではない大きさの魔晶石やアメなど結構福利厚生が充実している印象だった。

 当然その程度の魔石では辛いだけだが、たった1秒強化するだけで良いガルには本当に助かった。

 〈旅人(ザワールド)〉で動きを止めた後一匹一匹にナイフを投げれば終わりだ。貫通の効果があるがバリアが張られている地点より内側にナイフが出現した状態になるのだ。何をされたかも分からず全滅しただろう。

 結果だけ見れば華麗なる勝利だが、過程にはナイフを持って近づいて投げてを何往復もしたという汗臭い努力があった事を忘れてはならない。因みに2時間30分掛かった。

ユ「最近は淡々と説明口調で進むわね」

レ「今に始まった事ではなかろう」

ロ「その癖最後にはオチみたいなの付けやがって…」

ユ「早くおふざけ回にならないかしら」

レ「ふっ出番の終わった貴様らは哀れだな」

ロ「でもお前はずっとカッコ悪いシーンしかないっスよ」

レ「過去編ですら存在を仄めかされる事もないお主よりは…何だこの予定は!?」

 ピーに完敗。ピーにピーでピー。ピーをピーして戦犯だった。

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