その後
「ちび。豆粒。小さくてかわいい…低身長」
リモアが怒られているのを確認するとガルは早速部屋に戻りアーゲンに電話をかけた。理由は白峰の居場所を知るためだ。例の如くワンコールで出たが、内容は予想外だったらしく不服そうに半分預言の領域に入った予言で導いてくれた。
二階の窓が開き苛立った様な表情の白峰が顔を出した。倉庫の時は予想外に弱かったので煽る必要が無かったが今みたいに人目につきたくない時に謎の鋭さで過剰反応してくれるのは助かる。なぜなら布きれ二枚で裸になるのを凌いでいる状態だから。
「ちび…ちっこい…ちび」
「わざとか!誰や!…恥女や!恥女がおる!?」
「静かにしろ。理由は話すから黙ってこっちに来てくれ」
白峰は明らかに警戒している様だが何故か履いていた靴を手に持って近づいてきた。
「事情は分かった。でも確認するわ」
言うが早いか胸を触られた。そして触ると同時に白峰に強烈な膝蹴りが放たれた。
「い、言いたい事は分かる…だけどな、これは調査。いろいろあっての部分の調査だ!触ってみて分かったけど、火だな?服は燃えたんだろ」
「…」
見れば誰でも分かるだろ…と思ったがよく考えてみれば他校に襲撃しに行くくらいには不良?だった。実際にそんなやつがいるかどうかはおいておいて成る程、何事にも躊躇がないのは普段からと言う訳か。中学生だしな。
「もう一人連れて行きたいやつが居るんだけどよ…駄目か?どっちにしろ今日は難しいやろ」
「まぁ夜目も利かないだろうし…誰を連れて行くんだ?」
「姉貴の元恋人ってやつ。ほら、俺がぶちのめしたってやつ」
「…ふーん…明日は壁の近くに居ろよ。行けない可能性もあるけど」
どんなタイミングで警察が動くか分からない以上行動は早目に終わらせておきたい。倉庫の薬物が全て黒煙になってしまうとは考え難いがもしそうなら…最終的には国家権力が勝つだろうが考えたくない事態が起こるかも知れない。近くの民家の中身は玉在の指示を居住地で待つ薬中と同じに見えた。
(英。まだ唸ってんの?)
(うーん…答えは出てるけどさ…意味わかんねーなーって)
(ところで今どんな状態?)
(今?浮いててさっきまで目瞑ってた)
(浮けるのか…)
(それな。子供向けのジェットコースター乗ってる感じで気持ち良いぞ)
白峰と話終えて今は寝かされていたリモアの部屋のベッドに戻って来ている。裂け目を開いた地点まで屋根伝いに走って戻って来たのだが、確かに風景と家の壁という物理的干渉を受けないのなら空の旅みたいな感じで気持ちいいかも知れない。上空何千メートルから落ちるのとはまた違うだろうしな。
因みにリモアの行動は仕掛けた盗聴器で分かっていたのだが今は壊された様で分からない。玉在という男はなかなか用心深いらしい。玉在と言う名前も偽名かも知れない。いや、リモアなんて名前を子供に付けるくらいだし偽名だろう。
「アンジェ?起きてる?」
趣味の悪い扉が開く音がして誰か三人が入ってくる音がした。多分白峰姉?とリモア、玉在だろう。
目を開く。そのまま顔を向ける。そして何もしない。多分こんな感じが正解だと思う。
「起きてご飯食べよ」
「リモア…覚悟しろ!」
玉在はリモアを優しく押し退けるとガンマンみたいでそれにしてはダサいポーズで手に持った拳銃を発砲した。
「…」
「…よし。ご飯食べておいで」
どうやらおもちゃだった様で弾は発車されなかった。撃つ真似をされて微動だにしないガルを見て安全だと思ったらしく背中側に隠し持っている本物を意識するのを止めた。その後思い付いた様にカッターシャツを渡してきた。下の分は渡されなかった。
ユ「今日はお勉強よ」
ロ「は?」
レ「どのような勉強をするのだ?」
ユ「能力での戦闘の強さよ」
レ「本体は考慮しないのだな?」
ユ「いいえ?〈旅人〉は2つ目を使ってしまっているから…本体有りで能力の強さを見ていくわよ」
ロ「本体有りっスか…〈心臓食い〉がぶっちぎりじゃないっスか?」
ユ「あら?効果自体は単純な物だから能力と言う点では大した事ないのよ」
レ「今回は一位だけにしておけ」
ユ「そうね。じゃあ言うわよ…〈心臓食い〉!」
ロ「そっスか」
ユ「仕方ないわ…上がり幅無限はやっぱり強いって思っちゃったの…」
レ「この世界では基本的に魔力=強さの式が成り立つ。我ら竜族もやはり強き者が上に立つ」




