渦巻く
連絡
「…水曜日の16時までに行くので出来れば二人席を確保して待っていて下さい。大事な話になると思うので奥の席だと助かります」
ベル「わかった」
「あと毎週水曜に行く予定になると思うので教育w楽しみにしときます」
ベルの妻「ちょっとあんた…女の人と何話してんだい!?」
ベル「ちょっと待てよ!誤解だって!」
ベルの妻「誤解!?女の人と大事な教育の何が誤解だって!」
ベル「これはほら!中学生の…」
妻「あんた中学生に手出してんの!?」
ギルド受付嬢「ベルさん?すごい音してますけど大丈夫ですか?…ガルさんの伝言確かに伝えましたからね。では」
獣人の聴覚は動物よりは劣るが人間よりは優れている。それは置いておいてベル·カーギス、三(匹)人の子供を持つ既婚者だ。
木の柱を取り巻く炎は音を立てながら黒い煙を吐き出し続ける。しかしその煙は上へは上がらず発生すると同時に纏わりつく様に周囲に広がっていった。
(幻覚…?そう言えばさっきから声が聞こえない…?)
「…」
引火から約1分で最初の家に到達した黒煙は隙間だらけの建物の中に広がる。その際聞こえた住人の逃げろと言う叫び声と範囲を広げ続ける煙に混乱した叫び。今は物音一つ聴こえず炎のパチパチという音が静かな夜に響くだけとなっている。
(ガルきゅん…どっちだ!?俺か?周りの人か?)
「さぁ…?」
自分の体がどこまで影響を受けるのか。受けられないのか。華奢な女の子に火傷ができ、消え、燃え上がりまた消えて、到底現実とは思えない状況にたとえ幻覚だとしても答えを求めずにはいられなかった。返ってきたのは今にも消え入りそうで…なのに余裕を持ったいつもとは同じで、違う返事だった。
(どうしろってんだよ…答えてくれよ)
「なぁ英。…時間、見て来て」
(…!時間?時間だな!?)
「…」
(20時…4分!)
自分の車で外を気にしながらスマホを弄っている島田。その腕に輝く腕時計の4本の金の薔薇。そして時計の中心の存在感のある2カラットのダイアモンド。実に見事だが今回に限っては目に映らない。時間を確認すると急いで戻ろうとする。そこに急ブレーキと共に2台目の黒い高級車が走り込んできた。
(なんだぁ!?)
「スー!お願い」
運転手だろうか?誰かに何かをお願いすると勢いよく車のドアを開けて流水と共にリモアが出てきた。
「スー!アンジェを助けて!」
リモアを中心に溢れ出てくる水は煙を押し退け更には油?かどうかはわからないが原因の炎まで鎮火してしまった。
「リモアちゃん!?どうしてここに!?」
「!遅かったじゃねぇか」
島田に被る様に吐き出されたつぶやき声は誰にも届かなかった。
「スーリア…これ程の力があるとはね」
「うん!スーは凄いの!」
その次に握っていた注射器を思い出したらしく、嬉しそうに島田に差し出す。ドレスには収納できる場所が無かったのだろうが何かに影響を受けて胸とかで持ち歩かないだけましかも知れない。そして中身はまず間違いなく護衛用の薬物だろう。気を失ったふりをしているとはつゆ知らず、島田はついさっきまで火焙りされていた少女に注射し中身を無駄にする。残念な事に裂け目の行き先に液体を注ぐ事のできる容器などはない。
「アンジェちゃん…。これで友達だよ」
リモアちゃんは玉梨の反対を押しきって正義の少女の為に来たらしい。やはりあの子は甘やかされ過ぎじゃない?そんなに友達が欲しいの?だけどそのおかげで精霊の力を初めて生で見られた。火事の死因は一酸化炭素中毒が殆どで火ではなかなか死なないなんて聞くけど、10分燃やされ続けてぼろぼろの筈の体を自らの水で一瞬包んだだけで回復させるなんて…。帰ったら早速依頼しに行きましょ。
島田に見送られ乗って来た車で同じ道を戻る。うまく事が運んだら対策としてあいつを連れて来るのもありかも知れない。幸いにも太ももの上半分くらいと胸部の布数㎝くらいは無事だったし。
帰ったらパパに怒られた。でも友達が守ってくれるって言ったらまた危ないからって…おんなじ事言い過ぎ!でもさっきは初めて声しか聞こえなかった…包帯で隠してる右手って怪我?リモアが悪いのかな?リモアのせい?どうしたの?って聞いても教えてくれない。パパはアンジェちゃんに興味があるみたい。え?アンジェちゃんの事知りたい?うん!教えてあげる!アンジェちゃんって初めて会った時すっごいかっこよくてね!その時教えてくれた名前がね!…
ユ「可愛げがないわ」
レ「全然可愛くない性格だわー」
ロ「かっけ!ガルさんかっけぇ!」
ユ「本当に昔からこんななのよねぇ」
レ「襲撃したくないわー」
ロ「あんた過去編までは知らないじゃないっスか。レグナス!素が出てるっス…」
ユ「やった事は知ってるのよ」
レ「失礼な事を言うでないわ!これは我が渾身のボケだ」
ロ「あー…確かに本編には記憶受け継げないっスもんね」




