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一匹の獣人が神になるまで  作者: 狐魂
第2章~危険地に身を投じる狐~
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火刑

 「うふふ…ふふ…イケる!イケるわ!…ふふふ…ふふふふふふ…!」

 楽しそうに島田さんは倉庫から出て行った。

(…薬中の考えはわからん)

(脱出できそう?)

(まだ必要ない。…砂糖が無くなってる。バレた?)

(必要ないって…砂糖は大丈夫そうだったよ。手下に置いてこさせてた)

(分かった。英、出て行ったババア見て来て)

(ババアって…まだ20代中盤くらいじゃ…)

(薬の使いすぎで中身ババアだろ。最低でも頭はイってる)

(いやー、ちょっとテンション高いだけ…) 「来たわよー!あんたたち、丁寧に連れてイキなさい。丁寧じゃなくてもいいけどね!うふふふふ」

(な?)

(うむ…)


 下水道では30分程かかった移動だが、障害物のない地上は車で走るのに最適でたった数分の移動で目的地に着いた。幸い手下は優しいというべきか何も考えてないと言うべきか、荒い動きで車まで動かす様な事はせず良くも悪くも普通の人といった印象だった。これなら町で出会っても見分けがつかないだろう。

 「あんたたち、火焙りの準備をしてちょうだい」

(…)

(必要ないとか言ってる場合じゃないよね!?)

 少し遅れて自分用らしい高級車に乗って来た島田はわざわざ火遊びをするらしい。手下とガルの乗って来たワゴン車2台にはポリタンクも大きな丸太も揃っている。代わりに手下の人数は少なく運転手三人と見張り、丸太を運んで来たワゴン車に最後の一人と五人しか居なかった。島田の命令と同時に動き出した手下はもちろん作業を見る為にガルから目を離した島田の隙を見逃さず胸ポケットの魔封石を口と車のシートを利用して取り除いた。

 (反対側からこっそり捨ててきて)

(任せろ。…消えちゃったけど?)

 口の中の石を吐き出すと小さな魔方陣を作りだした。しかし英が動かし触ると魔方陣は触れた部分から石に吸い込まれる様に消えてしまった。

(仕方ない。車の中に隠すか)

(あっ丸見え)

(え?見える?)

(うん。スカートだから)

 バン!と音が出るくらいの力で前の座席に蹴りが炸裂した。

(す…鋭いデスね…)

(アホみたいな事するな)

 音は偶然丸太と屋根が当たる音と重なって気づかれなかった。気づかれても暴れればごまかせると思うがつい感情的になってしまった。


 「完成よ。泣かないで偉いね」

 本来の性格なのかはたまた薬の影響でねじ曲がったものかどことなく長女的な雰囲気で話す。やっている事は外道だがなぜこんな事をしているか少し気になった。

「うふふ…いい時間だわ。火をつけて」

 腕に輝く金にダイアモンドという豪華な腕時計を確認すると島田は車に戻りドアを閉めた。

 (忘れてた。時間見てきて)

(気にするとこそこ!?まぁいいけど)

 周囲に住んでいる者達はこの組織を知っているのかただ危ないと思っているだけなのか家から出ず遠目からこちらの事を見るだけだ。この辺りに時計はあるかどうか知らないが英雄を待つ少しの間にもポリタンクの中身は大量にガルの足下に振りかけられていく。おそらく雰囲気の為に用意されたであろう松明はすぐにでも投げられそうだ。

 (19時!19時53分だったよ!何してんの!早く抜け出してくれよ!)

(…!!ぅぐ!)

 英雄が時間を叫びながら戻ってきたと同時に松明が投下された。ポリタンクの中身は激しく燃え上がり黒い煙と明るい炎の光を生み出し始めた。

「ところで英…お前…嗅覚はあるのか…?」

(無い…けど…?それがなんだよ!)

「中身。…ガソリンとか、普通倉庫に…保管してる…か?」

(知らない…家庭で違うだろ…)

「少なくとも…これは違う。…俺は、薬。今までと同じか、知らんが…何か意味があって…俺以外の意味があって火焙り…してると思う」

(知らねぇ!考えるのは俺の仕事じゃない。ほら魔方陣出せよ!お前なら抜けだせるだろ!?)

「察し…悪い…な。幻覚を見せる、薬物なんて…いくらでもある」

レ「さぁ、張り切って始めるとするか!」

ロ「…」

ユ「…」

レ「…。仕事を放棄するでない!」

ロ「前回不調っぽかったっスよね?なんなんスかお前」

ユ「あ!レグナスちゃんだけ出番が物語にもあるからかしら」

レ「うむ。実は我が姉の容態があまり良くなくてな」

ロ「ケガっスか?病気っスか?」

レ「ケガだ」

ユ「ケガ?ドラゴンが?」

レ「久しぶりに会ったのだが回復しきっていなくてな。だが良く考えたら1000年前の傷だったのだ」

ロ「グレーラインの話は止めっス。本題は前回島田がメイドの話を持ち出した事っス!」

ユ「メイド…?そんな事あったかしら…」

レ「…確かにリモアとリティアを間違えておるな…」

ユ「あら、面白いからいいじゃない」

レ「知らんな」

ユ「下水道を光源なしで進んだり裂け目を説明なしに火山に繋げたり…あれよあれ」

レ「ギャグは時空を越える!だな?」

ロ「えぇ…」

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