組織のボスと幹部
「ではよろしくお願いします」
「任されたわい…危険な真似はするんじゃないぞガル君」
時間が足りないので夕飯は食べず例の粉をロイドに渡して工場に戻る事にした。どれ程効果があるかはわからないが代わりに砂糖を持って行く。
(結構信用できる人物だったらしいな。小学生までの俺は)
(小学生にどんな信用が…てかそれはお…)
(いくぞ)
(…アイアイサー)
(英、上に誰かいるだろ?何か持ってるか?)
(上?…バット持ってますね…)
(バットかよ…まぁ楽でいいけど)
(まさかだけどご飯より前からいた?)
すっかり真っ暗になってしまった工場で頼りない光を放つ古い懐中電灯で何かを発見したかの様に少女はベルトコンベアに顔を近付ける。光が弱いせいかそれとも何か重要な物を見つけたのかなかなか頭を上げない少女はついに手をベルトコンベアに乗せて完全に無防備な背中を見せる。
「とーう!」
二階の暗闇から人間に振り下ろされたバットのゴッという鈍い音と共に少女は床に倒れこみ動かなくなった。
「あ…大丈夫!?…脈はある。血も出てない…結構丈夫なのね。頭じゃなかったからかな」
安心した様にそう言うと少女を担ぎ別の工場へ歩きだした。
(ガルきゅん!?)
(問題ない。バットは裂け目を通って木に当たったから。それよりお前はどこに行くか見てろよ)
「玉梨さーんネズミを捕まえましたー!どこに連れて行きましょう?」
「…玉在だ。何度も言わせるな」
「玉梨さんネズミ。どうします?」
「…アホかテメーは!そんなもん殺して下水にでも流せ」
「人間流したらどうなるんでしょうね?猫はありますけど」
そこまできてようやく侵入者を捕まえたという意味だと分かったらしい男の声はため息をつき三番倉庫に来いといい沈黙した。
(今時顔が見えないタイプのインターホンなんか使ってるから…)
(どこで話してるんだ?)
(あのねー、手下のいっぱいいる建物…玉無荘って書いてある…建物に隠してあるインターホンで話してる)
(隠しインターホン…)
「…きて…お……おきなさい!」
眠ってしまっていた様だ。かなり本気のビンタと共に意識が覚醒した。
「…酷い頭痛だ」
(ヒュー…手形くっきり…)
(説明)
(えー?寝てた…)
(除霊)
(三番倉庫であります!)
椅子にくくりつけられ目の前に女、出入り口に男がいる。度重なる睡眠不足でうっかり意識を手放してしまったが眠っていた時間はほんの10分程で頭痛と引き換えに眠気も吹っ飛んだ。
「仲間は居ないのよね?」
「…」
出来れば捕まったままの方がいいが念のためバレない様に魔法を使おうとしたところ、使えなかった。結界もしくは魔封石というやつかも知れない。どこでも買える石だが加工された物を身につけていると魔力関係を使えなくなるらしい。前からあったのかどうかは知らないがそんな商品が出回っていた。
答えないでいると無言で女が注射を打とうとしてきた。
「殺せ」
「玉梨…さん。この子下さい」
明らかに臆病にも見える発言を揶揄…違った…玉在が本名か。関係性の分かるあだ名だなぁ。
「殺せと言っているのがわからないか?」
「初めから尾行していました。先ほども言った通りただの子どもです」
「駄目だ。それは私の災いになる」
「ではあれを使っては?リティアちゃんも友達になりたがってるしね」
「私の命令に逆ら…」
「10倍。場合によっては直ぐ様計画に移れます」
「なに?」
上に立ったせいで薄れているが小物だと思った。あれとはリティアの護衛に使う薬だろうか。金で買うのだろう。それよりじっとしているととたんに眠気が襲ってきた。ついあくびが漏れてしまった。
「こんの小娘がぁ!」
おそらく女への苛立ちも乗せて大の男が少女へ本気のビンタをしてきた。
「…なぁっ!」
いくら寝ぼけた頭でも二度目の屈辱を黙って受けるガルではない。男の小指を噛みちぎった。問題はない。抜け出す準備は完了している。
「殺せ!絶対に殺せ!」
「玉梨さん!今はそこだけでも!」
「…!まずい!島田!お前はそいつの始末をしろ。いいか?絶対だ」
やはり若干薄い気がするセリフだった。立ち去り方を含めれば合格点だが。
ユ「まだガル君だけ能力を裂け目としか言ってないのよね」
ロ「でも能力とか裂け目でも十分伝わるっスし文字数的に増えなくていいっスよね?」
レ「おそらく能力名は省略するであろうしな」
ユ「結局〈クリエイター〉とか〈ナイトストーカー〉みたいに能力+結果だと楽でいいわよね」
ロ「〈貫通〉でスマホとスマホの距離を貫通!じゃなくて〈心臓食い〉の効果で食事効果アップ!だと説明の手間が省けるっスもんね」
レ「一つ目はカメリア。最初に出た加治屋だ。2つ目は鬼龍院透だな」
ユ「どうしたのレグナスちゃん?具合でも悪いの?」
ロ「今移動中だから拾い食いしたんスよきっと」
レ「…ガルの能力は〈旅人〉だったな確か」
ロ「まさか解説してるっスか!?」




