潜入開始②
(ここは…居住スペース…?)
書斎の様な部屋を出て廊下に立つと目の前にピンク色をした正に女の子の為の部屋といった感じの外観のドアがあった。しかしこの部屋はおそらく想像通りの中身だと思い見つかる危険を回避する為無視した。それとは別に鉄の扉があり、開けてみると和の空間を意識したであろう庭が一望できるガラス張りの通路が続いていた。ガラス張りの通路を通りまた鉄の扉をあけるといくつもの扉が並んでいる建物と繋がっていた。
自身の部屋には高級感のある黒い扉を使い、更には避難経路まである。おまけに部下が大勢待機している建物と繋がっていて1分と掛からず助けに来られるだろう。正直に言ってテロリスト悪魔に勝るとも劣らない小物感に笑いが込み上げて来た。
「失礼。入るぞ」
(えぇー!?何してんの!?)
人の気配が感じられないので取り敢えず近くの部屋に知り合いっぽくお邪魔してみた。
「…!これは…ごめんね。用事を思いだしたから帰るね」
(無理ムリむり!無理だから!そんな可愛く言ってもダメでしょ!?)
英の焦りを裏切る様に部屋の主は頭を振ってまたテレビを見る作業に戻った。きっと面白いのだろう。テレビの割れた画面から眺める精密機械は。
(うるさい。答えてやるから黙れ)
(まだ何も言えてないっス…)
どうやら新種の麻薬は思考能力を奪うタイプらしい。効果なんて個人差もあるし構成員なら酷すぎる状態にはなってないだろうと、麻薬の症状は調べずに来たがさっきの男を見るに末端の構成員は薬漬けにしてこきつかっている様だ。部屋に入る時の呼び掛けに対して反応し既にこっちを見ていた男は何の反応もせず、ガルの帰ると言う言葉に反応した事から言葉だけは理解している様だが…。女の子を護衛していた男は守れと言う命令を受けていたにしろ、自分から行動していた例もあるのでどの程度知能が残っているかは分からないが殺せなんて命令なら地のはてまででもついて来る事だろう。予想以上に危ない組織かも知れないと考えを改めた。
(さて…小物じゃないのか…?)
(小物が好きなの…?)
「ねぇー!アンジェリッカ·プリキューアちゃーん!」
あまりのふざけた名前に反応が遅れたが上の階のベランダからでも微かに聞こえるこの名前は何を隠そうガルがリモアに名乗った仮の名前だ。天井もガラスの通路からなら外を眺めようとしているガルの姿が良く見えるだろう。鉄の扉を開けて手を振っているリモアの姿がこちらからも見えた。
「アンジェリッカ·プリキューアちゃん!どうしてここにいるの?」
「リモアちゃん。リッカ…プリ…アンジェって呼んで」
「分かった!アンジェって自分の名前に愛着なさそうね」
「えー?そんな事ないよ!それはいいとして、悪の波動を追ってきたら迷いこんで来ちゃった!てへっ」
(きっも…)
(わかる)
リモアの謎の鋭さの驚きを遥かに凌ぐ程やってしまった演技に収集がつかなくなってしまっている。普通に戻ってもリモアなら受け入れてくれるだろうが一度してしまったら止める勇気も必要になってしまった。
「あくのはどう?なにーそれ?わかんない」
「えっとー、注射!白い髪の女の人に注射とかしてない?」
「あ!毎日お父さんがしてるよ!あれがあくのはどうなの?」
「うん!ありがとうリモアちゃん。…一回目から?」
「え?」
「初めて注射した時ってどうだったの?」
「初めて…えっと…しーちゃん初めて会ったときは怒ってたの。でも注射したら友達になってくれたの」
「本当?ありがとう!私はこれから大事な用事があるから誰にも言わずにいい子にできる?」
「うん!また会ってくれる?」
「うん。約束する。バイバイ」
(症状は思考能力の低下かな。多分リモアの護衛とは別にあるな)
(さっきの頭悪そうな喋り方とのギャップ…癖になりそう!)
(しーちゃん…白峰だと楽だな)
(もっかいやって!てへって!俺やっぱり気に入ったかも!)
(お前なぁ…)
ユ「女の子二人の年齢って決まってないのよね」
ロ「ノーステリアは小4くらいっスよね確か」
レ「どこからでてきた数字なのだ…?」
ロ「台本っス」
ユ「リモアちゃんは…9才くらいかしら」
ロ「ん?」
レ「それくらいでよかろう」
ユ「決まりね」
ロ「ちょっと待つっス!あんたらの思う小学生ってどんなんスか?」
ユ「若木かしら」
レ「若木でも食んでいる頃だろう」
ロ「無駄な意気投合やめろっス」
ユ「仕方ないわね。7才くらいにしましょうか」
レ「違いがわからんな」




