平日より疲れる休日 後編
「幸い纏まれてないアンタ達と違ってアタイ達は出来るだけ居場所を掴んでるのよ。何してるかまではわかんないけど…もし隕石を止められるって確信があるなら、犠牲覚悟で伝えに行くわ」
「…ラーズさーん?シャルウェラさんの電話番号知ってません?」
「…切るわね」
「どなたですか?わた…拙者に何か用か?」
電話に出る確率は相当低いだろうと言われたがあっさり通話できた。どこか水場の近くなのだろうか、滝の音が聞こえるがその音を打ち消す様にハキハキした声で喋る女性だった。
「こんばんは。えっと…ロイドさんのところでお世話になってるガルです。今何してます?」
「拙者は今、砦崩しを逃がしてしまった償いに滝行をするところだ。ふふふ…君がガル君か!体調が悪そうだな!何の用だい?」
「滝行…地上ですか?」
「ふふ…面白い事を聞くね。確かに本当は洞窟なんかいいと思うのだが…簡単に見つからないからね。森の小さな滝だよ」
「…隕石を止める事は無理ですか」
「察しが良いね。まだわ…拙者にはあの大きさは難しい。寧ろ今のままの方が被害は少ないかも知れないよ…ふふふ。拙者が砕くよりかは」
「そうですか。ありがとうございました」
(どう思う?)
(ウェラちゃん?きっと最高な比率の脂肪と筋肉が美しい女性だと思うな)
(真面目に)
(拙者って言ってたよね?誰から見ても武士道精神の似合うカッコよさってあるんだなー!声だけで惚れそうだよ!)
(死…もういい)
(一瞬本性が出た…)
会話もしやすいしいい人、なんだろうが何かを知っている様子で油断は出来なそうだ。可能性があるとしたら隕石の発生理由、何もない筈がない隕石の周りの赤い光、…俺の出自。まさかこれから起きる事を知っていてあんな態度なんて事は無いだろうが…もし何かが来るとしたら…人間の都市やダンジョンを幾つも壊滅させた砦崩しを退けるシャルウェラよりも強い、正に災害とも言える生物?に違いない。
(だとしたら裂け目で逃げた方がいいかな)秘
(裂け目…触って裂け目みたいだからそう呼んでるけど…もし本当に裂け目だとしたら…)秘
「シキさん〈貫通〉は能力にも使えますか?」
時間は進んで現在は4時46分。隕石の全体を見るなら遠い方がいいが精密な動きが出来なくなるので限界まで近づくのを待たざるを得なかった。
「開きました。ラーズさんお願いします」
裂け目は目に見えないのでグラフの能力で見える様にしてもらう。〈貫通〉や〈裂け目〉と違い〈投票〉は持ち主の力量によって効果が変わるので少し賭けだったが、一回目に小さな裂け目で試した時と同じ様にくっきり形が見えた。やはり裂け目は空気とかで感知できるのが大きいのだろう。それすらも出来ない愚図だったらどうしようと思ったがそれくらいは出来る様だ。
「これなら大丈夫だな。始めるぞ」
ガルは屋根の上に移動し、能力以外の集中を排除して開ける最大の数の6の裂け目で六角形を作っている。まだ暗い夜空に白でわかりやすくなった裂け目を、同じく白い線がなぞっていく。
(英…隕石がはみ出さない様にちゃんと見てろよ)
(え?あー…うん?)
光の線は隕石が丁度裂け目の上数センチのところで最後の裂け目に到達した。
「…!!」
月の欠片は空をまるでガラスの様に割り、別の次元の世界へと落ちて行く。裂け目が六角形の巨大な穴となると同時にガルの体が裂け千切れ潰れ折れ捻れ破壊されていった。
「やぁ!血の匂いがしたんだけどー?何かあったかい?」
「いえ?隕石のにおいとかじゃないですか?」
「…ふーん?そうかもね」
(もし〈貫通〉に時間が掛からなかったら危なかった。下では騒ぎになってない…負担は全部こっち持ちか。良かった)
回復魔法で体を戻した。血の1滴も残らない。外に出た分は全て魔力に戻って霧散した。
ユ「あら、どうせ最強なのにね…記憶が無いから仕方ないわね」
ロ「…?最強っスか?どういう事っスかね」
レ「死なぬなどとは言わまい。しかし何かはあると…」
ユ「さぁ…どうでしょうね」
ロ「まぁ小説の名前通り(変わるかも知れないけど)目指すは神って事っスか?」
ユ「やだローグちゃん…また自宅謹慎になるわよ?」
レ「まだ神は目指していないからな。竜王の後に何かあるのだろう」
ユ「やだレグナスちゃん…消されるわよ?」
レ「消されるのか…?」




