休日の過ごし方⑧
体毛
英(毛の長さを測るぞー!)
英(獅音!短い!まるで人形、筋肉の壁)
英(榊優利!普通。こういう人形あるよね)
英(九月空!鳥に毛は生えてないよね。人形は普通に毛だけど)
英(アーゲン!鱗。夏用にひんやりする人形売ったらそれなりに伸びそうだよね)
英(ガルワーグナー!手が埋まった…!?)
本日4度目の絶叫マシンへ走る子どもを見守りながら整備された芝生に腰を降ろす。休日ではあるが待ち時間も殆どない程人が少ない遊園地で同じ乗り物に3度も乗っていて既に飽きたガルのみが11月の昼間に日向ぼっこをして過ごしている。アーゲンはユーリに誘拐された。
(微笑ましぃー!!デス!)
(お前はお前で楽しそうだな)
(楽しいわけないっしょ!めっちゃワープして疲れたわ!)
(それで荒れてるのか)
(ま、それはいいとしてジェットコースターばっかり乗って楽しいのかねー?)
(楽しいから繰り返してるんだろ)
(いやまぁそうだろうけどさ…)
(時速240どころか秒速30万だもんな。楽しそうに見えないか)
(別に光の速度って決まった訳じゃないけどね?)
「みーつけた!」
(…無視したい)
(短髪美乳おねーさんだぜ?振り向かなくていいのか?)
後ろからはつらつとした声が響く。いつもなら気にもしないのだが生憎今日は厄日なうえに周りには誰もいない。絶対に厄が降りかかると自信を持って言える。
「ちょっとそこの狼さん!こっち向いて話しましょうよ」
今まで俺を狼と間違えたやつは一人しかいない。鏡は居なさそうなので多分義賊団の仲間だろう。
「何か?」
無視を我慢できなくなったのか前に回りこんできた鏡と同じくらいの年齢の女性に目を向ける。
「アタイはバカな鏡君に変わって来たの!さぁ真実を話しなさい。さもないと承知しないわよ!」
「…」
「…」
(黄緑だぁ!)
「黄緑か」
何の色かは知らないが一瞬の間を置いて相手が下を向いたので何か心当たりがあるのだろう。
「ちょっと!何で知ってるのよ!これだから男って嫌なのよね!本当に…」
「何の話をしてるのか…怒鳴るなら場所を変えようか」
「ふん…アンタが変態だって絶対証明してやるからね!」
(帰りてぇ…)
(こういう展開のエロ同人がありそう!)
(どうしてトイレに!?)
(展開に流された…?トイレだけに)
「やっぱり変態じゃない!これだから…」
人が少ないと言ってもここは遊園地。客は居なくとも従業員はいる。ならば行く所は一つだけ、トイレの裏だ。
「自己紹介もまだだし決めつけてばっかりで意味がわからん。何であんたが来たのか説明してくれない?」
「一回しか言わないから聞き逃さないでね。アタイこそがゴミ箱義賊団の磁石よ!バカがみ君は騙せてもアタイに嘘は通じないからね!観念しなさい」
「…」
「…」
「俺は「ちょっと何で黙るのよ!」
「…」
「…」
「俺は「静かにしてあげたんだからしゃべりなさいよ!」
「鏡から話は聞いた?」
「えぇ。けどアタイは絶対にアンタから攻撃したって思ってるからね!ドラゴンの話は信じてもいいけど、最低でも真実を語ってもらうまで許さないから」
「…身内びいきしてるだけじゃない?」
この後烈火の如く怒りだしたがよく聞いてみると筋の通った話で、義賊団の説明を簡単にするとスラムを救う集団で気骨のある少人数の団員、狙う相手も悪い噂のある人物や不正に金を貯めている者からしか奪わない。これまでの傷害事件なし、一般人を傷付けるくらいなら捕まる。
聞く限りでは疑われるのも無理もないし、悪く言うには義の文字がちらつき決して悪とは言い難い。それでも泥棒には変わりないが。
「誰がどう見てもチンピラだと思う見た目だから仕方ないとは言わない。謝る気もない。だから相手が悪かったと先に言っておく。先に手を出したのは俺だ。大正解」
「認めるのね。理由は?」
「危険だと判断したから。もし吸血鬼ならあいつらが攻撃しないとは言い切れないだろ?」
「…はぁ…。分かったわ…あいつらも覚悟はしていた筈だから。でも、少しでも罪悪感があるならレグナス?ってドラゴンを退ける間だけでいいの。アタイ達に協力して欲しい」
レ「ふむ…迎撃されるのならやめておくか」
ロ「物語に影響出るっスから強制っスよ?」
ユ「あら!戦っても戦わなくても違いがないわ!」
ロ「レグナスは所詮その程度の存在って事っスね!」
レ「もしあの時お前が起きていても大して違いは無かったと思うが?」
ロ「いや多分死亡ルートっス」
ユ「そんな事ないわよ。きっとガル君が助けたと思うわ」
レ「いや…寧ろ瀕死で最後の魔導人形を壊す手助けの役かも知れぬぞ」
ロ「でも都合上結局…運転手っスか…」
ユ「今のままが一番ね」




