休日の過ごし方⑥
「中途半端な事はするもんじゃない。殺すぞ」
「おいおいマジ?何でバレるかなー」
「お前は…鏡。何の用…いや、義賊団が俺に何の用だ」
「…いいか?そこから一歩も動くなよ」
「何の用か聞いてるんだけど?」
「黙れ!質問するのはこのオ·レだ!許可無しに喋るんじゃねえ!」
(…ぶっ
違和感はカフェを出た辺りから始まった。誰かがわざと気配を消して歩いていると周りの音と経験で感じたのだ。しかし目標もわからない上にこの町の治安もまだ知らない。一見平和そうに見えるがスラムがあるのだ。ただのスリかも知れないし実はめちゃくちゃ治安悪い場所でしたとかこの一週間足らずの時間でも全然信じられる位の事は起こったのだが、映画館までの距離は15分程だったのでそういう趣味の人もいるだろうと気にはしなかった。
映画館に入り映画を観る。ここでトイレに行かなければ平和に過ごせたかも知れない。しかし知らないキャラが自分でもできそうなアクションをしているのは流石につまらないという感想しか出ず、趣味の合わない英とは映画を観たところで楽しくお話する事もできず、仕方なくトイレに籠ってゲームでもして時間をつぶそうとしたところに、さっきまで忘れていた気配が再び活動を始めた。
「中途半端な事はするもんじゃない。殺すぞ」
「おいおいマジ?何でバレるかなー」
トイレのドアの前で息を吸い緊張をほぐす様な行動をとったストーカーに直球で警告する。頭をかきながら入ってきた相手を目の前にある洗面台の鏡で確認する。
「お前は…鏡。何の用…いや、義賊団が俺に何の用だ」
今までは本当に平和だった。今日から俺に直接繋がる問題が出てきた。だから今日は厄日なのだろう。
俺は人間が嫌いだ。理由は忘れた。一度思いだして封印された前回の世界の記憶が理由の大半だが、当然生け贄にされかけた今回の事も忘れていない。記憶は無いが経験は残っているおかげかショック等は殆どない。しかし嫌悪感は募っていくばかり。
「…いいか?そこから一歩も動くなよ」
泥棒が警察気取りですか?あれ?何で警察?警察…?あぁ、俺ってそういや警察嫌いだったなぁ。違うな…いや違わないか…やっぱり合ってるな。命令されるのが嫌いだから警察が嫌いだったんだっけ?あれ?なんだろ…腹立つなぁ。
「何の用か聞いてるんだけど?」
しかしよくわからない事を考えてはいるがしっかり鏡がここにいる理由等も考えている。大丈夫。まだ冷静だ。こう考えよう。俺は千年生きているから千歳。厳密には30ちょっとだけど。こいつは20代後半に届くかどうか。だから大人の余裕を見せてやろう。敵対し…てもいいけど魔獣の方が効率はいいかな。
「黙れ!質問するのはこのオ·レだ!許可無しに喋るんじゃねえ!」
とても残念な事にこのタイプが一番嫌いだ。いつもなら耐えたと思う。しかし最近は心の安らぎがあり過ぎたようで…キレた。
勿論この問題には自分から首を突っ込んだような物だが…キレた。
最近では自分でもどっかの鳥類に苛めで困らせる行為をしている気がするが…キレた。
(…ぶっ殺す)
「鏡君!勝手に行動しないでって…あ…」
当然だが映画館にはトイレが二種類ある。ここはその二種類の内の一つ、男子トイレ。そこにミリアが勢いよくドアを開けて入ってきた。しかも自分で察した。
「ミリア!これから大事な話をするんだ!出てけ」
なんとスマホで録音してからまた再生した。始めの一回で十分なんじゃないか?
「鏡君のエッチ!知らない!」
理不尽だが鏡にとっては幸運だった。あと少し遅かったらきっと攻撃を初めていただろうから。すっかり冷めてしまったので話しの続きをしよう。命令口調でも今度は怒る事は無いだろう。
レ「キレ症かよ。すぐこのセリフ吐いてくるやつがいてよくキレかけました。…知らぬわ」
ロ「人を煽って何もしてないのに即行で逃げるやつもいました。即行で相手にするのを辞めました。知らないっスね」
ユ「以上。狐魂さんの中学校の時のめんどくさい人達でした」
レ「これも狂気の影響だな?」
ユ「いえ…きっと前世で歪んだのね」
ロ「それだと警察に話し掛けられたらキレるヤバい人って事じゃないっスか!」
レ「一つ聞きたいのだが良いか?」
ロ「いや違うっス…普段は常識人寄りっスし…普通に狂気のせいっスね絶対」
ユ「そうね…記憶が存在している状態なら怒る事は無い…かしらね」
レ「おい!聞いているのか?」
ロ「今は漠然とした怒りが沸くせいって考え方でいいっスか?」
ユ「いいわよローグちゃん。質問係として100点満点よ」
レ「ならば解説係のユグドラシル!我の質問に答えよ」
ユ「いいわよ実況のレグナスちゃん」
レ「警察とはなんなのだ?」
ユ「…」
ロ「…ボケ担当に変更っスね」




