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一匹の獣人が神になるまで  作者: 狐魂
第2章~危険地に身を投じる狐~
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休日の過ごし方③

 スマホの向こうから荒い息遣いが聴こえる。ガル達が出発してから5分程後で家を出た蜥蜴は自分より早く移動を開始したこっちの状況が分かっている。当然ずっとスマホを耳に当てているガルも相手の動きをわかっている。しかし家からの距離は違いがあるのだから急ぐ必要はないんじゃないかなと思いながらガルは何も言えずにいた。

 電話を掛けてからずっと止めないガルを見て獅子噛も隼も疑問には思っている感じはする。しかし知り合って間もない二人は何も聞かない。しかしそろそろ我慢の限界らしい獅子噛は目的地に着く前に話掛けてくるだろう。対する九月は何かスカした態度で沈黙を守っている。腹立つ

 更に5分経過。

 「なぁ、さっきから何してんだ?」

「いや…いつ切るのかなって…」

「えぇ!?不思議ちゃんだったかのか!」

「流石に見てる世界が違いますね」

 それでも切らない切られない。スマホの向こうからは息遣い以外聴こえないので独り言は言わないタイプか何となく予想してたのだろう。

 そして今思ったのだが片道30分の距離は普通自転車くらい使うべきではないだろうか。よく考えたら一日中外で過ごす予定だし多分町中移動しながら遊ぶ。ならば最低自転車、出来れば自分含め5人に奢るとかいう謎の財力を使ってタクシーもしくは大人同伴で車にすべきだと思う。遊園地とかじゃないんだから。

 「そういや説明されてなかったですね。なんてカフェ?」

 思いついた様に説明されていない事を思い出した隼は、おそらくガルの前では初のてのため口で獅子噛に聞いた。

「…ベアカフェだったかなー?俺は行った事ねぇしあんま覚えてなぇや」

 今さらだが待ち合わせ場所は例の黒魔術の店の前だ。おそらく転校生だから気を使って知っている場所にしたのだろうがこれはこれでおかしいと思う。多分黒魔術とか誰も思ってないんだろうな。それと情報の拡散速度が速すぎる。一々知り合いに報告する義務でもあるのだろうか。

 「ベアカフェ…9時開店で19時閉店。場所もいいのか結構人気があって評価も高めっスね」

 聞いてもいないのに解説しだした。何か溢れ出るしたっぱ感が凄いがよく考えたらこいつ不良の幹部なんだよな…そして友達の多い獅子噛、能力持ちの白猫、先生とも仲良し。そう考えるとスクールカーストの上位のやつらが集まった感じか…決めつけはよくないが。それならこの距離感も説明がつく。偏見だった。


 「見っけた!」

 意味のない電話だと分かり普通に話掛けてくるようになった獅子噛の質問に答えていると横道から自転車で爆走してきたスマトラスンダランドウンピョウが危ない勢いで近づいてきた。

 「おはよう!まず始めに何で自転車じゃないのー?」

 ユーリは元気にごく一般的な質問をしてきた。

「俺の体力と歩幅知らねぇのか?」

「俺飛べるっスよ?」

 二人(バカ)が大喜利を始めたのでガルも鉄板ネタをする流れに逆らわない事にした。

 「俺はテレポートできるぞ」

「ガルっち!オイラの自転車テレポートで置いてきて欲しくなった!お願いしていい?」

 ユーリは悪くないので快諾した。


 「今どの辺りですか?僕はそろそろ着きますよ」

 一人増えた事で会話が盛り上がりかけた時にスマホから声が聞こえた。

 「こっちもあと数分で着く」

「何してるのかな?って思ってたけど電話中だったんだね」

 聞けばいいのに行動に移さない人が多いなと思いながら見えてきた黒魔術店の屋根に目を向ける。やっぱり看板以外中身も外観も普通の店と大差ない。

 そのまま店の方へ近づくとアーゲンがしっぽでスマホを持ち、手で小説らしき物持って読んでいるのが見えた。こちらに気付くとスマホを手に持ち変えたがその行為にどんな意味があるのだろうか。見える位置で電話待ちするなよ。

レ「アーゲンの家は『占い師』に出てきた店とは別にあるのだ!」

ロ「店は祖父母の家の使わない部分を改装してるっス!」

レ「こいつは有名な占い師なのだが店の中に箱を設置している!」

ロ「何の変哲もない箱っスけどお札とか硬貨が入りそうな穴はあるんスよ!」

レ「後は分かるな!」

ロ「何故っスかねぇ?みんなただの箱にお金を勝手に入れていくんス!」

レ「こいつも金使いの荒いやつの一人なのだろうか!」

ロ「まだ分からないっス!」

ユ「あらあら仲良しだこと」

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