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一匹の獣人が神になるまで  作者: 狐魂
第2章~危険地に身を投じる狐~
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予言対策

 「あの男…刺すな」

(じゃあ助けてあげればいいのに)

 貧しい身なりの男は手に持っている錆びた包丁を隠す素振りも見せずきらびやかなドレスを纏った少女にふらふらとしながらも一歩一歩近付いていく。ガラスの割れたゲームセンターでクレーンゲームに夢中になっている少女は気付かない。側にいる白髪の女性も少女が動かすクレーンをただ黙って見ているだけだ。

 男はゲームセンターの入り口で一瞬立ち止まると包丁を構え、走り出す。無防備な少女の背中に向かって。


 時刻は23時。楽しい時間はあっという間に過ぎ、皿を洗っているガルだけがその部屋で立っている。大人は酔い潰れたのか机に顔を伏せて眠っている。子どももソファーで眠そうにテレビを見ている。

(はっ!先生は糸目で分からなかったけど起きている!)

(なんですって!?)

(…下らねぇ…思い付く俺もそうだけどそれに返してくるお前も下らねぇ)

(疲れてるんだよ…ずっと働いてたから)

(こっち居なくてもいいのに。向こうでテレビでも見てたら?)

(それだけどね、やっぱり近い方が落ち着くし離れると…ほら胸が締め付けられる様な…消えそうになるから)

(え?パ○タライモ○?)

(誰がダイ○○や!)

(…よく知ってるな)

(同じこと言えるけど?)

 皿洗いを終わらせたガルは寝ている二人に毛布でも掛けようと近くの部屋に探しに入る。あった。収納ケースに使われた様子のない毛布が入っていたので二枚持って大人二人の元へいく。寝ている二人に毛布を掛けるとソファーでも別の二人が寝ているのが見えた。

(ふっ…所詮はガキよ、他愛もない)

(ちょっとテンション高いよね?大丈夫?)

(深夜テンションかな…)

(0時近いもんね。帰って寝る?それともここで?)

(俺は…お前は寝ないのか?)

(一番疲れてないの俺だし、眠くはないなぁ)

(疲れが有るのか…)

(まぁそれは置いといて、見てよあの寝顔。可愛くない?)

(そうだな、かわ…牙こっわ)


 時刻は0時40分。子ども二人にも毛布を掛けてから虎白の家を出てスラムらしき場所を隔離している壁の上にようやく登れたところだ。

 あえて麻薬の配達をしている白峰達から聞いた配達先の家を張るか別の子どもに無理やり吐かせるかの方法は白峰が実践している(多分)ので隠れ場所に困らないであろうここに目を付けた。人が誘拐されている現場に出くわすならそれでよし。そんな事もなく平和ならそれはそれでここの状況も知れるのでよし。とどちらに転んでもする事は大して変わらない。

「今日は何もしない」

(さぁまずはこの高さ20メートル近い壁をおりますか)

「地面の見えない階段程怖い物はない」

 壁の中は暗闇で照らす光がないので裂け目では移動出来ない。

(要するにびびってるって事?)

(警報装置とかあったら嫌じゃん)


 暗闇の中でも人間よりは見える目でゆっくりと魔方陣で降りていった結果、何も無かった。光源は殆ど無く近くの廃墟になった建物の窓にはガラスすら見当たらない。それでも人が住み着いているらしく段ボール等で補強されていた。

 「寝てる…?」

 人が寝ている。何人も。どうやら本当に見た目通りスラムらしく大した大きさではない建物に人が密集していた。壁から見下ろした感じだとそれなりに起きている人がいる様で弱々しい明かりが暗闇のなかで動いたりしている。

 有るのかどうかも分からない麻薬販売組織のアジト探しは難航しそうだった。

レ「母性本能…いや父性か?普段の行動からはあまり考えられない優しさを感じるな」

ユ「こうやって普通に生きていく道もあるのにねぇ…プライドらしいわよ」

ロ「続けるんスか?今までの流れ無視して」

レ「仕方のないやつだな。我がここに来た理由が知りたいのだな?」

ロ「司会者みたいな態度が鼻につくっス」

レ「知らぬ。我が姉を見つけ、鏡との約束を果たしに町へ戻る。暇だから来た。それだけだ」

ユ「最後で台無しね。ただレギュラー入りした事だけ分かったわ」

ロ「姉とはどうなったんスか?」

レ「そうだな…メインストーリーに絶対必要な訳ではないがサブストーリー並みには重要だからな、今はまだ話せぬ」

ロ「サブよりも大事な話な気がするっスけど…」

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