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一匹の獣人が神になるまで  作者: 狐魂
序章~終わりに続く道~
4/115

著者**②

1口メモ

ガル

最近訓練をする際大体の相手は素手の方が速いと気付いた

ラック

頭を使うので習慣で糖分を取るのだが、甘さ控え目が好きだと気付いた

 扉を開けると暖かい風が体毛を揺らした。ソファーに深く腰掛け瓶の酒をラッパのみしている熊の獣人がこっちを向いてニヤつきながら話しかけてくる。

 「やーっぱりねれねーんだな」

 その言葉はガルの好物であるチーズが数種類とラックの好物のミルクティーとスイーツがいくつか用意してあることからからかわれているわけではないと分かる。

 「どーだ?良いベーコンもあるぞ」

 カリカリに焼いたベーコンを見せびらかすが「それはいらん」「今はちょっと…」二人には同時に拒否された。

 「そ、そうか」

 ベドは静かに残りの酒を飲み干しにかかった。60点(そこそこ)じゃこんな日は刺さらんか、と誰にも聞こえないように呟いている。酒を使っても気分が盛り上がらないらしいベドをなんとも思ってないガルはチーズを食べながら勝手に確認したくもないが多分合わないであろうインスタントの抹茶ラテを用意しながら話を始める。

 「どう?お城」

 お城とはパラノイアのいる建物のことで、今の地形とも併せて相対的に高い建物な為そう呼んでいる。

 「一週間前に行かせた。年一の偵察だからな。丁寧に見回らせてきたが、なーんも変わっとらんな」

 精密な機械を使って、一年に一回。町に近い獣人は忘れないよう2ヶ月に1回くらいは行くが。二階建の公民館と呼ばれる建物を人類は取り返せなかった。進行を諦めてからしばらくは人影があったのだが、いつの間にかそれすらも見えなくなった。そうなってからも誰だろうと自分から見に行こうなどと言い出さない。最終的には惰性で一年に一度は特に意味もない偵察を形だけ続けているのだ。

 パラノイアの話をすると、どうしてもこの内容に続く。終戦から1ヶ月後、少なくとも確認した範囲では、同じ日に同じ内容の夢をこの辺りの人間が見たらしい。俺は知ないけど。

 その内容は巨大なドラゴンらしき影が紫色の炎で世界を破壊するというだけの内容だった。そして最後には暗転した夢の中で浮かび上がる恐怖を感じさせる()()に「君の挑戦を待ってる!うそうそジョーダンだ。英雄を育てよ。そして連れてこい」と言い渡される。割かし舐められているが、こんな事をいわれた英雄でも勇者でもない人々は遂に建物に入れないまま今日を迎えた。

 「ものすんごいツノだった。てかツノの形しかわからなかった」

「わしもあのツノ見て朝起きたらちびっとったわ」

 ガルには理解出来ないが、ツノで締めくくるこいつらのせいでツノの事しか残らなかった。…と思っていた。当時36才のおじさんがおねしょしたというこぼれ話はインパクトとしては今までで最大級だ。

 「ボロが出たな?」

「はぁー?なにを漏らしたって??」

「言ってない!」

「ほらそんなに気を張るなって。あーん」

 ラックはラズベリーパイの最後の1口をガルに食わせる。

 「クックックッ。ガキども。もうお布団に包まるか?」

 夢でチビったおじさんは力持ちなので戦いには荷物を運ぶという形で参加していたらしい。

「プランBはどうなってる?」

「あいよ。その作戦はあんまり気にしなくていいんだぞ」

「プランBって?」

「お前は気にしなくていいやつ」

「げっぷ。あれー?おとなおとな…お?こんなところにちっちゃいおとながおるぞ!」

臭い息を撒き散らすベドがおどけて2人を抱き締めると、やはり2人共がもがいて抵抗したのだった。

今更ですが狐魂はここんと読みます

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