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【本編完結】マッシヴ様のいうとおり  作者: 縁代まと
第二章

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第54話 二人の師と次なる地へ!

 夢の中の訓練と学習。


 それらを始めるのは『元々目指していた大きな街の手前にある農村に着いてから』ということになった。

 夢路魔法は対象が眠っていればいつでも発動できるが、余裕があるならば安定した睡眠環境のほうがいいのだという。

 野宿ではどうしても眠りの質が落ちるため、とりあえず村で宿を借りよう、ということだ。ついでにその間にヨルシャミも回復し、より魔法を安定させられる。


 村で宿をとったその晩、伊織はヨルシャミに師事してもらうべく眠りについた。


 相変わらず普段は夢をほとんど見ない伊織だったが、この日は意識が闇に落ちるなり腕を引かれてどこかの室内へと引っ張り込まれた。

 その瞬間「これは夢の中だ」と勝手に頭が理解する。

 場所は違うが、初めてヨルシャミと会った夢の中とどことなく雰囲気が似ていた。


「よし、成功だ。意識はあるな、イオリ?」

「ちょっとふわふわするけど……うん、大丈夫だと思う」


 白昼夢のようで足元がふらついてしまう。

 まるで高層ビルの一階から最上階までエレベーターで一気に上がったかのようだった。そんな奇妙な感覚が頭にまとわりついていたが、我慢できないほどではないと伊織はこくりと頷く。

 改めて周囲を見てみると、どうやら巨大な図書館の中のようだった。


「この本は……」

「私の知識を形にしたものだ。ああ、心配するな、魔法の知識からただの日常の豆知識まで一括で変換したもの故、これをすべて読めというわけではない」


 どうやら夢路魔法の仕様上、一括の方が負担が少なくて済むらしい。

 伊織はまじまじと壁のような本棚を見上げ、改めてヨルシャミの知識量を目の当たりにしてごくりと唾を呑み込んだ。

 もし自分の知識を同じように本の形にしたら、この本棚のどの辺りまで埋められるのだろうかとついつい考えてしまう。


「兎にも角にもまずは座学だ、初心者向けの本をいくつかピックアップしておいたから席に座れ」

「ありがとう、えっと……」


 伊織はヨルシャミを真正面から見て微笑む。


「僕なりに頑張ってみるよ。宜しく、ヨルシャミ」

「……使い物になることを祈っているぞ」


 そう敢えて軽く言い放ち、ヨルシャミは不敵な笑みを浮かべた。



 その笑みの意味を知ったのはすぐ後のことだ。

 とにかくスパルタだった。教え方に隙がなければ甘さもない。上手くいけば褒めてはくれるが間髪入れずに次の課題が提示される。

 座学もただ座って本を読むだけではなく、その都度きちんと頭に入っているかあの手この手で確かめられ、忘れそうなタイミングで再び答えを訊ねてきたりと休まる時がなかった。


 しかし時折ヨルシャミが自ら見本として披露した魔法や疑似的な召喚魔法は夢の中でも見事なもので、魔力操作を可視化して見せてくれた時など体内を流れる魔力の動きの美しさに目を奪われたほどだ。

 伊織も覚えた知識をフルに活かして実技に挑んだのだが――


「……これは何だ?」

「……けむし……」

「うむ、毛虫だ。なぜ中型サンドワームを召喚しようとしてただの毛虫が出る?」


 ――不思議な結果しか出せなかった。


 しかも孵りたての小さな毛虫だ。もし戦闘力を数値化しても、きっと一もない。

 魔力はある。召喚魔法も発動している。

 しかし結果が芳しくなかった。

 伊織としては自分で魔法陣を出現させ、そこから呼び出したというだけでちょっとした興奮を覚えてはいたが、出てきたものが毛虫の赤ちゃんであるためリアクションに困っている。とても困っている。なぜ毛虫の赤ちゃんなのか。


「も、もう一度! もう一度挑ませてくれ!」

「うむ……では次は悪魔大蛙を召喚してみろ。くれぐれもオタマジャクシを召喚しないように」


 二度力強く頷き、伊織は意識を集中して頭の中に魔法陣を思い描いた。

 ヨルシャミほどになると想像しようとした時にはすでに描かれているらしい。

 伊織はまだまだそんな域に達していないため、この作業にすら多大な時間を要した。視覚で覚えた魔法陣を細部にわたって思い出すというのは存外難しい。


 バイクの場合はバイク側も心から望んでいることであるため、この工程はバイクキーを回すという行動に簡略化されているそうだ。

 すべてそういう形式ならいいのに、と伊織は思わずにはいられない。

 それでもどうにか綺麗に描ききった。思い浮かべたものそのままの魔法陣が指先から現れる。

 あとは対象を呼び出すだけだ。


 しかし。


「……あー……これは何だ?」

「……ちりめんじゃこにたまに入ってるカニみたいなやつ……」

「それが何かわからないが、これだけはわかるぞ! 遠ざかってるな! なぜ遠ざかる!?」


 そんなの自分が聞きたい、と伊織は両手で顔を覆った。

 一体全体何が悪いのか。単純に経験不足なのか。

 訓練初日なのだからここまで嘆かなくてもいいのかもしれないが、ヨルシャミがこれだけツッコミを入れるということは早々ない失敗である可能性が浮上してくる。


 一方、ヨルシャミはヨルシャミで頭を抱えていた。


「おかしい……手順は間違っていないはずなのになぜだ……レシピ通りに料理を作って失敗しているようなものだぞ……」

「それめちゃくちゃ胸に刺さるんだけど……」

「ヨルシャミは先生に向いていないんだよ」

「人に何か説くのは得意ではないのだ。まあここにある魔法の知識は私が学んだもの故、イオリには合わなかった可能性もあるが――ある、が……?」


 伊織は机の傍らに立っている。

 ヨルシャミはイスに座っている。

 そんなふたりの会話に誰かが混ざってきた。凄まじく自然に。


 同時にその存在に気がついたヨルシャミと伊織は、思わず表情を固まらせて声のしたほうを見た。

 金髪の美青年が机に両腕をついてこちらを見ている。


 それはまさしく――魔石に転じたはずの、ニルヴァーレだった。


「ッは!? なんっ、ぐわっ!」

「幽霊だっ!? ぉぐッ!」


 ヨルシャミはイスごと飛び退いて派手に後転し、伊織は半歩下がったところでヨルシャミが転んだ拍子に吹っ飛ばしたイスで脇腹を強打した。

 夢の中のため痛みはほとんどないが、本能的にダメージを負ったと錯覚した体が痙攣してむせ込む。

 そんなふたりの姿を見下ろしながらニルヴァーレが口角を下げた。


「すっさっまっじっくっ美しくないな! というか失礼だぞ、夢の中に僕がいて何が悪い? むしろ得しかないだろう?」

「それを本気で言っているのが恐ろしいな! ……お前、私やイオリの記憶から出てきたものではないだろう」


 尻もちをついた状態でヨルシャミがニルヴァーレを睨みつけて言う。

 仰天して幽霊だなどと咄嗟に口にしてしまったことを自覚し、ひとり羞恥に耐えていた伊織はヨルシャミの言葉を聞いて改めてニルヴァーレを見た。


「え……じゃあこれは、その、本人……?」

「たぶん九割くらいは正解だ」


 ニルヴァーレは吹っ飛んだイスを拾って置きなおすと、その上にどっかりと腰を下ろして足を組んだ。

 よろよろと起き上がったヨルシャミが伊織に手を貸しながら続けて言う。


「魔力だけでなく魂まで混ぜて結晶化させた結果であろう。前代未聞だぞ。本当になんという魔法だ……」

「あはは、こうなる前は魔石が枯渇すると死活問題だったものでね」


 人でなしここに極まれりといった内容が聞こえてきたが、そんな恐ろしい人物が目の前にいると思うと話がなかなか頭に入ってこないため、伊織は一旦魔石化魔法のことを頭から追い出した。

 逆にヨルシャミは魔石化魔法に興味を示していたが、当のニルヴァーレ本人が「そんなことより」と仕切り直す。


「僕がこうして君たちと話していられるのはヨルシャミの夢路魔法あってのことだ。だが魔石を通して会話は聞いていた! 元の体を取り返すのは後回しのようだね? 今の僕なら道案内できるんだが?」

「ああ、その問題は解決するわけか。しかし、まあ……今はやめておこう」


 なぜ? とニルヴァーレは首を傾けて問う。

 本当になぜ取りに行かないのか不思議に思っている表情だった。ヨルシャミは低く唸る。


「単純に戻し方がわからない。お前のことだ、他人に盗まれる心配もなければ体が傷むこともない最高の環境で保管してあるのだろう?」

「もちろん、メンテナンス無しでもまだ数百年は安泰な場所だよ」

「だが脳のない体を担いで旅するわけにもいかないのでな、癪に障るが今はまだ預けておこう。そのままにしておいた方が危険がなさそうだ」


 脳だけない自分の体をストーカー紛いの存在に預けておくようなものだが、ヨルシャミは一体どんな心情なのだろうか。

 予想すらできないな、と思っていた伊織はふと浮かんできた疑問を口にした。


「そういえば……あの、ニルヴァーレ……さん? はヨルシャミの元の体を保管してどうするつもりだったんですか?」

「イ、イオリ! 敢えて訊かなかったことをお前という奴は――」

「上の連中が望みの情報を得たら、脳を貰い受けて体と合わせて元の状態に戻すつもりだったんだ。まあ戻すのは専門の奴らに任せる予定だったから、僕もそれをどうすれば戻せるのかわからないんだけれどね」


 慌てて耳を手で覆ったヨルシャミだったが、ばっちり聞こえてしまったのかげんなりした様子で言った。


「……戻してどうする。私がお前と敵対していることは変わらないし、好ましくも思わない。もちろん恩も感じないのだぞ」

「僕を憎悪していようが情報を引き出す過程で正気を失っていようが、一式揃ったヨルシャミが「いる」だけでいいな、って思ったのさ。まあ今は会話くらいはできたほうが嬉しいと思うけど」


 ヨルシャミはぞわぞわと鳥肌が立つのを感じ、


「ああ、今は君も手元に並べ置いてもいいと思っているよ、イオリ!」


 伊織は全身の毛を逆立てた。

 なるほど、これは変態だ。

 どこでどう気に入られたのかわからないが、自分を対象にされて初めて伊織はそう思い知った。



 どうやらニルヴァーレは補助魔石と一心同体らしい。

 肉体を手放してなお自由に生きられるなら生きてみせよう、とそんな選択をしたのだという。

 そのため、ヨルシャミは補助魔石の恩恵に預かる代わりにニルヴァーレも共に連れ歩くことになる。

 幸いにもニルヴァーレはナレッジメカニクスに個人的な執着はないらしく、すでに『生きた若い肉体』という美を必要としなくなったため、脱退したも同然と思ってくれていいとのことだった。


 しかし本当に信用し、仲間にしてもいいのか。

 少なくともここでふたりだけで出していい答えではない。

 そのため対応は起きて仲間に相談してからということと相成った。そんな結論が出たところでヨルシャミが問う。


「……ニルヴァーレ、これは参考としての質問なのだが」

「なんだい?」

「カザトユア近くの村が五年ほど前に襲撃を受け、全員攫われた。目撃証言から私はこれがナレッジメカニクスの仕業だと踏んでいる。幹部目線で見てこれが当たっている可能性はあるか?」

「本当にあくまで参考として訊くんだなぁ」


 仲間として訊ねてくれてもいいのに、とニルヴァーレは肩を竦める。


「詳しくは覚えちゃいないが――あの辺りで材料狩りをした記憶はある。まあ僕は移動に手を貸したくらいだが」

「材料……」

「ナレッジメカニクスには人体実験が必要不可欠なんだ、人間で試してこそ意味があるって連中がごろごろいるしね。そして実験体は大量に欲しいときたものだ。非生物で補うほど人手不足なのに贅沢なもんだよ」


 眉を顰めるふたりを見てニルヴァーレはにっと笑った。


「五年も前じゃその村の連中は『使われた』後だろうが――もしナレッジメカニクスの実験施設が気になるなら、一番近い南の施設から当たるといい。位置は教えるよ。大丈夫、この期に及んで嘘はつかない」

「それこそ嘘くさいな……!」


 だがナレッジメカニクスの邪魔をすることには繋がるだろう。

 救世にはこの組織を潰すことも大きく関わってくる、と伊織は感じていた。

 未だに信じていいものか悩む人物だが――嘘でも真実でも、今は情報を貰えるだけでありがたい。

 この未開の地が数多と残る広い世界を何の足掛かりもなく歩き回るのはデメリットが多すぎるのだ。


「ヨルシャミ、これも後でみんなとちゃんと話し合おう。……あの村の人たちは救えなくても、これからまた同じ犠牲が出るのは止めたい」

「まったく、お人好しめ……。まあいい、私も同じような意見だ」


 よかった! とニルヴァーレは手を叩く。


「あとは――」

「む?」


 やおら立ち上がったかと思えばニルヴァーレがヨルシャミに耳打ちをし、そして何を伝えたのかふたりして伊織を見た。

 緑の目と、緑と青色半々の目。

 突然圧の強い視線に晒された伊織はぎょっとする。


「なるほど、その申し出は受けてやろう」

「良い選択だ、ヨルシャミ」

「え……え? 何?」


 ふたりが何を言っているのかわからない。思わずおろおろとする伊織の右肩をヨルシャミが、左肩をニルヴァーレが掴んで引き寄せた。

 そしてとてもよく似た笑みで言う。


「この僕も君の師になってあげよう!」

「二人がかりでゆくぞ、イオリ!」

「え……えええええぇ!!」


 突然の同盟に伊織はスパルタ訓練再来の気配を感じた。

 信じる信じないの緊張感はどこへいったのか。

 知識として教えるくらいならヨルシャミの目もあるため怪しいことはできないと考えたのかもしれないが、それにしても少し前まで敵対していた人物まで先生になってしまうなんて。そう伊織は戸惑う。


 時間はまだたっぷりあるからな、と本の表紙を叩きながら言うヨルシャミを見る。

 それに乾いた笑いを返すだけで伊織は精一杯だった。


     ***


「おはようございます、イオリさん!」

「……お、おはよう……」


 長い夜が明け、目を開けるなりリータに挨拶された伊織は手の平を見せながら挨拶を返す。

 きちんと脳を休める時間も計算されており、睡眠自体は『授業』終了後に取ることができたため眠気は残っていない。

 しかし精神的にどっと疲れていた。


 やはりヨルシャミは相変わらずのスパルタで、あの後アリや角の生えたダンゴムシを召喚した伊織を扱きに扱いた。

 対してニルヴァーレは印象に反して教えるのが上手く、優しく、褒めて伸ばすタイプだったのだが――根底にこちらへの並々ならぬ執着心のようなものが見え隠れして心が休まらなかった。

 巧みに「よしよし、教えたことをきちんと覚えていたな! 偉いぞ!」と褒められるのはいいが執拗に撫でてくるのは正直怖い。


(でもなんとか小動物タイプまでなら想像した通りの対象を呼び出せるようになったぞ……! ま、まだ十回に一回くらいしか成功しないけど! 成功は成功!)


 ニルヴァーレ曰く、伊織は召喚魔法を扱う才能はあれどセンスがないのだそうだ。

 しかしセンスは磨くことができるもの。

 僅かだが手ごたえを感じた伊織は次も頑張ろう、と握り拳に力を込める。


「訓練はどうでした? 召喚魔法は使えました……?」

「ぼ、ぼちぼちですね」

「途中で随分とうなされていたが」

「ヨルシャミがスパルタだったんだ……」


 心配げな静夏の問いに伊織は苦笑混じりにそう返す。

 そこで伊織は母に成果を見せたくなったが、伊織の召喚魔法はまだ現実世界で実技をできるレベルではないらしい。暴発すると恐ろしいため実力がつくまでお預けとのことだ。


「あっ、そうだ、みんなに話さなきゃいけないことがあって」

「話さなきゃいけないこと、ですか?」


 そこで隣のベッドにいたヨルシャミも上半身を起こして目覚める。

 そして召喚魔法の特訓とは別に、突如現れた新たなる先生について仲間たちに話すこととなったのだった。



 ――結論としては、今はニルヴァーレを信じることになった。

 ヨルシャミが解析した結果、魔石自体に何か怪しい魔法がかかっているわけではなく、夢路魔法の世界でしか会話もできないため基本的に無害だろうということがわかったことも理由に含まれる。

 現実世界では指一本動かせず、夢路魔法の世界ではヨルシャミの管理下にあるならいいだろうということだ。


 ただし檻に入った猛獣でも心から信用するのは危険を伴う。

 これからも慎重に接したほうがいいだろうというのが総意だ。


「この状況、ニルヴァーレにとっては生き地獄も同然だというのに……あいつめ、驚くほどイキイキしていたぞ」


 イキイキしてたのはヨルシャミもなんだけどな……。

 伊織はそう言葉にはせず密かに思う。イキイキしすぎてスパルタに磨きがかかっていた。

 静夏がお茶を口に運びながら言う。


「不自由だが――ニルヴァーレにとっては望んだ状況だったのだろう」


 伊織は魔石としてでもいいから連れていってくれとニルヴァーレが言っていたのを思い出す。

 それが本心だったなら、魔石に彼の意識も含まれていたのは僥倖中の僥倖だろう。


「魔石がヨルシャミの役に立つ補助系だったのも本心の影響かもしれないな」

「少々歪んでいるがな」


 ヨルシャミはやれやれといった様子で言う。

 魔石を作るだけなら魔力だけでもいいものを、魂まで混ぜたのは『自分が混ざっていたほうがいいものになる』というナルシスト的な自負からだろう。

 魔石化魔法の仕様という可能性もあるがニルヴァーレだと前者のほうがありえる。

 しかし、そこに自分も同行したいという強い思いがあったのも窺えた。

 なら意図せず補助系の魔石に転じたのも、歪んだ思いではあれど本心からの気持ちだったからかもしれないと伊織は考えている。


「まぁ、これはさしずめ奴による最高傑作というわけだ。さあ……」


 ヨルシャミはニルヴァーレの魔石を光に翳す。

 そして晴れやかな笑顔で言った。


「売ったらいくらになるのだろうな?」

「さすがのニルヴァーレさんも泣くんじゃないか!?」


 そうツッコむと、ヨルシャミは「冗談だ!」と石にも聞こえるように言って肩を揺らして笑った。



 兎にも角にも目的地は絞れた。

 まずは伊織の特訓をしながらナレッジメカニクスの南の研究施設を目指す。

 施設を目指すのは世界に害をなす実験の妨害と、今のナレッジメカニクスが何をしようとしているのか把握しようということが目的だ。

 施設のある方向を考えると、農村を経由して向かう予定だった大きな街には予定を変更することなく向かうことになるだろう。

 人の多い場所で魔獣の出現情報を集めることも大切である。


 その街は――とある高級ブランド肉が有名な場所、ロストーネッド。


 カザトユア並みに栄えているらしいが、一体どんな場所なのだろうか。

 そう次なる目的地に想いを馳せながら、伊織たち一行は農村を後にした。

御覧いただきありがとうございます。

評価やブックマークをしてくださる方にも心からの感謝を!

もし気になったキャラがおりましたら感想等から教えて頂けると嬉しいです。


そして普段より少し長くなりましたが、二章はこれにて終了です。

次の55話より三章に入りますので、引き続き宜しくお願い致します!

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