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プロローグ

 感想頂けると興奮します。

拙いですがよろしくお願いいたします!

 私は家族が好きだった

 反抗期なんても来た記憶もないと思う。

 お母さんも、弟も大好き。お父さんの臭いが気になったりする時期もあったけど基本は好き。

 家族と笑っている時間が好きだったな。


 幸せな頃はいつだったか考えてみると、リビングで話ながら家族でテレビを見ている時の映像が頭を過る。

 本当に好きだったのに、気がつくのが遅かったなぁ

家族が大好きでもちろん結婚もしたかったし家庭も欲しかった。


 私が死ぬとき孤独だったな。

 私の人生に劇的な物は何もない。


 学生の頃は、顔が余り良くなかったのか。モアイ像なんてよく呼ばれていた。顔をカバーするために明るく元気にいたので学校の時の私の周りには人が絶えなかった。 


 社会人になると学生の頃ほど、上手くはいかない。

 女性の就活は本当は男性より大変だ。ショップ店員、窓口、受付スタッフ、インストラクター、果ては事務や工場だって女性は顔で採用されることすらある。


 あれは一部上場企業の、集団面接を受けた時の言葉は忘れられない

「君、歌舞伎とかの面とかおかめ納豆のあれに似てるね! よぉーって言ってよ! よぉーって」

 その言葉に周りにいた数人はクスクスと下向き、声を押さえようとしている。

 それを見た面接官の上手いこといったぞ自分、僕はダウンタウンか!? なんて思っていそうなクソガキみたいな表情は、今も瞼の裏に張り付いている。


 私の男性に対する嫌悪感を顕著にしたのはこの時だった。いくら顔採用のために、元の顔が分からないくらいファンデーションを塗りたくり、チークはもはや肌の上に積もるのじゃないかというくらい塗り、就活仕様の黒髪ロングでもおかめ納豆はひどい!

 しかもたぶん、おかめ納豆はよぉー! って言わない。

 目に涙をためて、面接の席を立ち上がった所でおろおろし始めた面接官に渾身の、

「イィぃぃヨォオオおっ! ぽんっ」を繰り出してやったのが私の唯一できた仕返し、集団面接の全員を爆笑させ、全員を不合格にしたのは私の通う大学では伝説となった。


 なんとか受かった事務の仕事は人と関わる事はなかった。

 同期の橋本神無ちゃんの所にはひっきりなしに他部署の人が来ていたりしていたけど、私の周りは透明人間かなって位人が来なかった。

 ちょっと悔しくてセクシーな編みタイツをはいた時はポンレスちゃんなんてあだ名がついたな、私は表で真壁さん、裏ではポンレスちゃん二重の呼び名で広まっていたようだ。


 会社で話すことがないから家族への執着は強くなる。

 弟は私より顔がきれいなのもあり、あっさり結婚して家を出ていた。


 私はそんな相手もいないから家族と話ながらテレビ、テレビ、テレビのテレビざんまい。芸人さんが出てる番組は見すぎて、並の若手芸人さんよりお笑いをわかってた気がするや。

 私が画面に向かって「そこのノリ違うでしょ若手! 吉本の団体芸に付き合わなきゃ」なんて言っている横で両親が苦笑いしていた

 見ていない番組もテラス◯ウス位かも知れない。


 理科の授業で太陽は直接見てはダメ、遮光板を使うのよ。と教えられていた私は好奇心で直接見てしまい目を痛めてしまった。

 理科の先生は正しいんだ。太陽よりまぶしいテラス◯ウスはきっと遮光板がないと見れないから私は断念した。

 

 そんな暮らしも3年以上たった時、兄弟で学生の頃、お母さんに孫の顔見せてあげたいね! なんて話していたはずの弟はその役目をしっかりと果たした。


 孫の誕生日を見届けた両親は満足そうにその年に母が死に、後を追うように翌年父も死んだ。


 私の想像してたより両親が早く死んだ。

 私達には全く見せなかったけど体は悪かったのかも知れない。

 家族のがほしい。

 いないならもういいかな……

さすがに家族がほしいからって弟の家には迷惑をかけられない。


 その後の人生は父と母の死を悲しむだけで終わってしまうだろう。

 家族の大切さを知ったときにはもう25歳、美人な人達はこれから全盛期だろうけどブスな私はホントに手遅れ。


 頑張れよ顔を言い訳にするなっ! なんて言う人もいるだろうけど、私にはもう休まる場所はない。

 体力も気力もなのもわいてこない私はもう死んだのと変わらない。

 そんな状態の人に惹かれる人がいるなら連れてきてほしいものだ

 

 屋根の上から垂れる、火の輪潜りにはかなり小さい輪は、首くらいしか入らないだろうか、私なら潜れちゃうかも! そんなアホな事を考えながら、私は首を輪にはめ、下の踏み台を蹴りあげた。


 「来世は幸せな家庭を作りたいなぁ」


 視界は幸せな家族と話したリビングの光景が浮かぶけど、だんだんと暗くなっていく。

 そろそろ寝る時間かな。




 私はゆっくりと目を閉じた。

読んでいただきありがとうございました!

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