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予知夢

作者: 豊田 玲

俺は予知夢を見ていた

その人が死ぬ場所と時間、そして顔を知らせるものだ


その夢の内容はまるで子供が絵本を読むかのようなもので

例えば


『明日の朝の7時半、手紙を送る赤い箱。その子が見るのは空を飛んでる黒い服。こんな顔してとっても間抜け』


と言った具合に声が聞こえ

男性の顔が目の前に出ている


そして次の日の7時半

郵便局が角にある交差点でスーツ姿の例の男性が車に轢かれて亡くなった

こういった感じだ


はじめの頃こそ驚いたが慣れてしまった俺は

人助けをする事にした

予知夢で死の予言をされた場所へ行き

そして予知夢で見た顔の人を見つけては死から救った


『こんな顔したおねぇさん。白い服着て病気かな。屋根の上から鳥さんの真似っ子。お腹はいっぱいお昼すぎ』


そして昼過ぎにある病院に行くと今にも飛び降りそうなその女性をみつけ

優しくなだめた


『夜8時。四角で長ーい鉄の箱。こんな顔して飛び出せば、真っ赤な服にお着替え完了』


次の日、線路に飛び出そうとした人の腕を掴み既で引き戻した


『大きな鉄の鳥さんが。羽根をもがれて泣く泣く落ちた。9641番の事』

次の日フライト予定だった大型旅客機の9641便

そのフライトを中断させ点検させたところ

羽のボルトが緩んでることがわかりこのまま飛んでたら羽が折れてたかもしれないと後に感謝状を貰った


そうして過ごす内に暇を見つけては救うというのには限界があると感じ始めた

なんせ場所も時間もバラバラだから


そこで俺はブログを開設

予知夢をブログに更新した

自分の身は自分で護りましょうと


はじめこそ誰も信用せず

予知夢通りに死者がでてたが

その的確さから徐々に信頼され始め

人々は信じるようになった

ついにあらゆる企業も信じ始め

俺の予知夢通りの死者は出なくなった


そうして過ごして10年が立ったある日

いつもと違う予知夢がでた


『困った困った死神は、探した探した原因を。見つけた見つけた死神は、怒った怒った地団駄ふんだ。さだめはさだめは変えちゃだめ、勝手に変えたその罪重い』


ここで目覚めた

なんの事か分からなかったがとにかくブログに書こうとした

その時


体が突如吹き飛ばされた

激しい轟音

軋む家

飛び交う小物


俺は慌てて外に飛び出した

目の前に雑居ビルがあり

これも大きく揺れていた

超巨大地震だった


俺はその場にうずくまった

頼む早く収まってくれ


その時、上からがしゃんと音がした

ばっと見上げると

雑居ビルのガラスが割れて降り注いできた

ここで俺は悟る


あぁ、罪って………………




この日この地域を襲った大震災はあらゆる家やビルを押しつぶし

多数の死者が出た

ある者は揺れにより高いところから落ちた

ある者は脱線した電車に轢かれた

ある者は揺れにより着陸失敗した飛行機に乗っていた

そしてこの日以降予言のブログは一切の更新が無くなった



さて、これは余談だが

予知夢の男が救った人と

この大震災で亡くなった人は

全て同じだそうだ

勿論、人数まで全て取りこぼしが無かったそうだ

この事を知っているのは


死神だけだ

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