表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユズルの夏  作者: カワラヒワ
6/46

漁 2日目 2

 港まで歩いて5分。

 昨日は薄っすらと空が明けかけていたけれど、今日は曇っているから、夜みたいに真っ暗だった。


「今日は雨になるな。風もあるようだし。ユズルどうする?」

 マモルが言った。

「どうするって?」

 意味がわからず僕はきいた。

「今日はやめにする?」

 マモルが立ち止まって言った。

 

「僕がやめても、マモルは行くんだろ。だったら僕も行くに決まってるよ」

 雨が降るからなんて理由でやめるわけにはいかない。そんなことしたら、また姉さんにばかにされる。やっぱりねって言われる。

 だから、僕は意地でも船に乗らなきゃいけないんだ。


「メグミさん、心配しないかな?」

 メグミさんっていうのは僕の姉さんだ。

 マモルはいつも姉さんのことばかり気にしている。

マモルは姉さんのことが好きなんだ。姉さんはマモルより5つも年上なのに。


マモルにはもっと若くて、優しくてかわいいい子の方が似合う。マモルはもてるんだから、そんな子はマモルの回りにたくさんいるはずだ。

なのに、どうして姉さんなんだ。

マモルは姉さんと話しをする時、ぜんぜんマモルらしくなくなる。赤面したり、どもったりで、かっこ悪いったらない。いつもはかっこいいマモルなのに。姉さんを意識しすぎるせいだ。


だから、僕はマモルからメグミさんという名前を聞くたび、イライラする。


「マモルが気にすることはないよ」

 僕はつっけんどんに言う。

「でも、心配かけるのはよくないさ」

「いいよ。姉さんは心配するのが好きなんだから」

「そんなわけないだろう」

 マモルが笑う。


 僕は余計に腹が立つ。

「姉さんだって自分の好き勝手にしてるよ。お酒飲みに行ったり、デートして朝帰りしたり」

「えっ」

 マモルの顔色が変わった。

 お酒飲みに行くのと、デートっていうのは本当だけど、朝帰りっていうのはうそだ。

「メグミさん、彼氏いるの?」

 マモルが平静を装って言った。

「いるに決まっているよ。26にもなっていない方がおかしいんじゃないの?」

「そう、だよな。いない方がおかしいよな」

 マモルは明らかにショックを受けている。

 僕はマモルが落ち込んでいるのを見て、いい気味だと思っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ