病院で 2
ドアが閉まり、二人がいなくなってしまうと、途端に病室は静まり返った。
姉さんはティッシュで鼻をちーんとやってから、ハアーとため息をついた。
髪はバサバサで、Tシャツはよれているし、ひどい格好だ。
みんな、僕のせいなんだ。全部僕が悪い。
姉さんになんて言って謝ろう。
僕は我慢できず、とうとう泣き出した。
一度泣き出したら、なかなか止められない。止めようと思うと、返って嗚咽がひどくなる。
僕は姉さんに似て泣き虫だ。
姉さんが僕の胸の上にタオルを置いてくれた。
姉さんはその時ごめんねと言った。
最初、聞き違いかと思った。
だって、姉さんが僕に謝ることなんて、今までなかったから。
勝気な姉さんに似合わないなと僕は思う。
姉さんはいつも怒っているくらいの方がいい。
僕に謝ってほしくないんだ。
姉さんはいつも、がんばって、がんばって。僕のために父さんや母さんの分までがんばってくれているんだから。
僕はもう姉さんの顔を見ていられず、頭から布団をすっぽりとかぶった。
我慢ができず、僕は声を上げて泣いた。
長い時間が経ったと思った。
しゃくりあげるのもやっと止まって、呼吸も普通に戻っていたし、気持ちも落ち着いていた。
布団の中は蒸し暑く、僕は早く顔を出したかった。
病室は誰もいないみたいに静かで、姉さんはもう帰ったのかもしれない。
僕はそおっと布団から顔を出した。
姉さんがいた。椅子に座ってこっちを見ていた。
僕があっと声を出すと、姉さんはクスリと笑った。
「あんた、まだ子供ねえ」
僕をからかった言い方が、いつもの姉さんらしかったので、僕はほっとした。
「姉さんだって泣いたくせに」
僕も姉さんみたいに、からかった言い方をまねたけれど、声がかすれてうまく言えなかった。
姉さんはまたクスクスと笑った。
足は痛む?ときくので僕は大丈夫と答えた。
姉さんは深呼吸して、組んだ足をしたに下し、髪をかきあげた。




