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ユズルの夏  作者: カワラヒワ
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マモル

今日は日曜日で、姉さんは休みだから家にいる。

姉さんは休日にちっとも遊びに行かなくなった。


アイツと別れて面白くないのはわかるけど,たまには女友達とでも気晴らしすればいいのに。

今日も一日中テレビを見て過ごすんだ。

そんな事をしていたら、いつまでも立ち直れないんじゃないかなって思う。


 僕だってこの暑い中、外に出なきゃいけなくなる。

 僕はお互いが顔も合わせない同士が、長い時間同じ家で過ごすなんて、息苦しくていやだ。姉さんだってそう思うだろう。


 僕はポテトチップスと水の入ったペットボトルを持って、姉さんが起きてこないうに家をでた。


 のんびりと歩いていると、マモルが前からやって来た。

「どこ行くんだ?」

 マモルが声をかけてくる。

「あてのない旅だよ」

 僕は笑い、ふざけて言う。

 僕たちは並んで一緒に歩いた。


 マモルの怪我は良くなって、今はよその船に乗っている。

「仕事の方はどう?」

 僕は道端の石ころを蹴りながらきく。


「気楽だよ。こっちの方が。言われる通りに動けばいいんだから」

 マモルがうつむいて言う。


「それよりさあ・・、メグミさんは元気になった?」

 うつむいているマモルの顔が少し赤くなる。


 たぶん、きいてくるだろうと思った。この前会った時姉さんのことを話したから。

 でも、マモルはどこまで気がいいのか、姉さんの失恋をとても心配している。

「姉さんは、まだだめだなあ。すごく落ち込んでいるし、毎日やけ酒さ。仕事にはちゃんと行くけどね」

 僕は正直に答えた。


「そうか、まだ飲んでいるのか。体壊さなきゃいいけど」

 マモルが前を見て言った。


「マモル、今がチャンスだよ。今、姉さんに優しくしてやったら、姉さん、マモルのこと好きになるよ」

 我ながらいい考えだと思った。姉さんには前のように元気になってもらいたいし、マモルと姉さんがうまくいけば僕もうれしいかな、と思うようになったから。


 マモルは、ちょっと笑ってから、

「いや、今はやめておこう。人が弱っている時につけ込むようでいやなんだ。それに、俺が慰めても、メグミさんには効き目がないと思うよ。今の俺は必要とされていないからね

今はお前が優しくしてやるのが一番いいんじゃないのかな」


 マモルが真剣な顔をして言う。そんな真面目なこと言うのはマモルらしくない。いいかっこしちゃってさ。


 だけど、僕は言い返せない。ふーんと言ってうなずくだけだ。

 マモルは本気なんだ。本気で姉さんのことが好きなんだ。


 僕だって、いろいろ考えているし、姉さんに優しくした方がいいってわかっている。だけど、今は話せそうにない。

 僕は黙って小石を蹴り続けた。


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