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ユズルの夏  作者: カワラヒワ
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酔っぱらい 2

 僕は眠れそうになかった。何だかじっとしていられなかった。


 僕はベッドから起きると、足音をしのばせて家から外へ出た。

 風が心地よく吹いている。静かだった。夜中だから誰も歩いていない。


 こんな時間に家から出るのは初めてだった。


 マモルの家の前を通った。どこの部屋の電気も消えている。


 僕はぶらぶら歩いて浜までやって来た。

 僕はいったいどうすればいいんだろう。これから何をして先に進んでいけばいいのだろう。漠然とした不安と焦りが僕を苛立たせていた


(海に飛び込んでみようか)

 僕は暗い海を見つめている。


 いつの間にか、誰かが波打ち際にいる。

 あれ? 女の子?

 僕は目を凝らした。

 白いワンピースの裾が歩くたび、ひざのあたりで揺れる。


 まさか、こんな時間に女の子が1人で?

 誰か大人と一緒なのかな、と思って辺りを見回しても誰もいない。


 髪の長い子だな。僕と同じぐらいの年かな。

でも、どうして、今時分にこんなところにいるんだろう。

 

 不思議な光景だった。女の子とその周りだけが、暗闇の中で光っている。

 月明かりが白いワンピースに反射しているのかな? それにしてもいやにはっきり見える。いくら、月が出ているからって変だな。


 僕はしばらく女の子を見ていたけれど、女の子は波打ち際を行ったり来たり、時々、波と戯れるだけだった。


 自殺志願者でもなさそうだ。

 僕は知らないうちにイライラも忘れていた。

 女の子は足跡を残して遠くになっていった。

家に帰るんだろうな。

(さて、僕も帰ろう)

 僕は回れ右をして来た道を戻って行った。


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