どこへ行こう 3
海沿いの松林は涼しい風が吹いていた。
ここは僕のお気に入りの場所で、1人になりたい時はいつもここへ来る。
ここはほとんど人が来ない。
1人になれる所だから、誰にも教えない。マモルにも、もちろん、姉さんにも。
ここなら、姉さんが休みで家にいる日でも、誰にも邪魔されず、好きなだけマンガを読んだり、昼寝ができる。
姉さんのうるさい小言や、機嫌の悪い時の八つ当たりを避けられるし、時間を気にせず自由でいられる。
姉さんとなんて、なるべく顔を合わせない方がいいんだ。
僕はゴロンと横になった。
カモメが一声鳴いて飛んで行く。
いつものように静かな光景だ。木のざわめきも、海の色も何も変わりない。
なのに、僕の心だけがなんだか頼りなく、落ち着かない。
どうしてだろう。普段ならのんびりできるはずなのに。
黙り込んだ姉さんの白い頬が、目の前にちらつく。
(何でもないさ)
僕は起き上がって、松ぼっくりを海に投げた。
随分と時間が経ったように思ったけど、まだ2時間位しか経っていない。
何でこんなに時間が経たないんだろう。
マンガももう飽きた。
のどか過ぎて、退屈過ぎる。
「何かイライラするな」
僕は独り言を言う。わざとため息なんかついてみる。
誰にも会いたくなくてここに来ているのに、何だか誰かと話しがしたいと思う。
僕はなぜ、ここにいるんだ? いったいどうしたいんだ? 急にそんな疑問が沸いてくる。
僕はのろのろと立ち上がった。そして、歩き始める。
どこへ行こうか。
僕の足の向く先は、やっぱりマモルの家しかなかった。




