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月曜日:デートをしましょう③

 結局購買に行ったときには既にめぼしいパンはあらかた売り切れ、残ったのは地味なパンばかりだった。とりあえず、こよみはメロンパンが買えて満足そうだったからいいか。俺もとりあえず目当ての品は買えたしな。


「先輩それだけでいいんですか?」

「良いとか悪いってよりこれしか買えなかったんだよ」

「先輩、お金ないんですか……?」


 実際のところない。財布の中の現金はもう100円を切っている。


「普段弁当だからな。あんまり学校に無駄な金を持ってきてないんだよ」

「だからと言ってコッペパンと牛乳だけってどうなんですか?」

「別にコッペパンは悪くないだろ!?」


 なんの変哲もないコッペパンだが、それだけにいつも変わらない味だ。いつもなんて言うほど食べてないけどさ。


「しかもコッペパン1個に牛乳3本って……。先輩は相変わらず牛乳が好きなんですね」

「……そうだな」


 別に俺は取り立てて牛乳が好きなわけではないけどさ。ただ俗説でもなんでも頼らなければやってられないだけだ。何のためとは言いたくないけどさ。


「牛乳、効果ありました?」

「……いうな」

「ちなみに私は効果ありましたよ?」

「いうなぁぁぁああああ!」


 わざわざ言ってくれなくても見れば分かるよ! その骨太で立派な筋骨隆々の身体を見ればカルシウムとビタミンDとアミノ酸がこの上なくしっかり働いたことがよく分かる。俺だって同じくらいスポーツに勤しんで来たはずなのにこの差は何なんだろうな!


「ほんと、先輩はスレンダーで羨ましいです」

「それ女の子の体型を褒めるときのセリフだからな!? 俺男だからな!」

「またまたぁ」

「あー! もうやっぱりお前の事嫌いになりそうだ!」

「……え? 私の事嫌いになっちゃいますか?」

「朝もやられたし、もうその手には乗らねえからな!」


 その後もそんな調子で散々からかわれて、散々に笑われてこよみのおもちゃ状態の昼休みは過ぎていった……。

 昼休みいっぱい取り留めもない話をしていた別れ際に、少しだけ背筋を伸ばしてこよみが「先輩」と固い声色で楔を打ち込んだ。

 なんとなくだがこよみも少しだけ緊張している――ような気がする。気のせいかもしれないが。


「先輩、私は今週ちょっと多忙なので、”今日だけは”どうか放課後に付き合ってくれませんか?」

「……要件による」


 流石に放課後何時間もこのペースでからかわれ続けるのは辛いからな! まあ多分こよみが本気で隠す気になったら俺にはこよみの言葉が本当に真意かどうかなんて読み切れないんだろうけどさ。


「先輩と、本当のデートがしたいです。この間の本音を隠したデートじゃない、素の私で先輩とデートがしたいです」


 きっぱりとそう言い切るこよみは、少なくとも俺が感じ取れる範囲では、冗談でそんなことを言っているわけじゃなさそうだ。


「分かった。絶対に約束は守る」


 その本気の様子に俺も腹に力を入れ本気で応える。

 果たしてこよみが何をするつもりか知らないが、力を込めていなければこよみの相手は務まらないからな。


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