表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

影武者

2×××年、日本。


国民にはそれぞれ「ナンバー」が与えられ、意外にもスンナリと定着していた。


その定着具合といったら、個人情報保護の観点から不特定多数の人前では【名前】ではなく【ナンバー】で呼ぶ程だ。


例えば病院や飲食店での順番待ちなどでは「田中美智子さ~ん」などと呼ばれることはなく「ナンバー123456789番さ~ん」という具合に。


これは呼ばれる方にとっては好都合である場合も多いが、呼ぶ方は桁が桁だけに大概面倒なものではある。


そんな呼ぶ側の病院関係者や店員のネームプレートもナンバーの記載のみ。


最早【名前】というのは身内や親しい間柄でしか使わない。

某SNSも数世代も前に廃れ、代わりに台頭したSNSサイトも仮名での登録ばかりになっていた。

今やインターネット上に顔や本名を公開する人物など一人もいない。


時の総理大臣のナンバーは11111番。

キリのいいゾロ番なのは偶然ではない。

11111番=総理大臣ナンバーとして代々受け継がれていく。

与党も党首もコロコロと変わる時代、11111番=総理大臣という認識の方が顔と名前の一致よりも定着していた。



そんな時代、ある中年男性がいた。

男のナンバーは11117。

このナンバーを得たものの幸運だろうか。

男は故意に7があたかも1であるかのように書き、日常的にオイシイ思いをすることも多かった。


総理大臣だと勘違いした人は、男を興味の目で見つつ丁重に扱う。


総理大臣が丁重に扱われる、つまりこの時代の政治は悪く無かった。

というよりも政権が移り過ぎて、多少世知辛い御時世でも責任の所在が曖昧だった。

取り敢えず偉い人に対して丁重に扱っている、という方が正しいのかもしれない。



そんなある日。

総理大臣がテロ事件に巻き込まれるという事態が起こった。

爆破事件である。


テロをお越したのは無名の一般集団であり、矛先の理解らない鬱憤を只晴らすための過激組織だった。



件のテロ集団は即座にお縄、となったわけなのだが。

逮捕後、どういう訳かTVのニュース速報では【テロの被害に遭ったのは総理大臣ではなく一般市民】という旨のテロップが流れる。


お察しの通り、11117番の男である。


“ナンバー違いで不運”に見舞われてしまったのだろう。


不運。

ではあるのだが、実の所、時の総理大臣と男は顔も背格好も良く似ていた。



不運の始まりは2ヶ月程前に遡る。


時の総理大臣が現職に就任した頃。


男は役所に向かっていた。

どういう訳か、男のナンバー記録が手違いで抹消されてしまったというのだ。

新しく発行されたナンバーは11117。

時を同じくして、“11118”が再交付された男もいたが、やはり総理大臣にそっくりな風貌だった。



事件後、“11117は同様の流れで別の人物に再交付がなされたようだ。



もしもナンバーの不自然な再交付があった場合は、気をつけた方が良いのかもしれない。


元ネタが見た夢だけに、粗だらけなオハナシですが、読んでいただいてありがとうございました(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ