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魔王が復活しそうなので慣例に従って勇者を召喚したらチートすぎた上に個性が強かった  作者:


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母子が感動の対面をした場合

すみません、短いです。

うまく区切れませんでした。

 カリーナがレンツォを無視してオレールとリュネットを見る。


「とにかく、私はずっとあなたたちに会いたかったの。でも、あのバカが会わせてくれないから」


「おまえ、仮にも自分の旦那をバカ呼ばわりするなよ」


 叫ぶレンツォに対してサミルが冷静に言う。


「それ以前に自国の王をバカ呼ばわりしないで欲しいです」


「うるさい外野はほっといていいから」


 そう言うとカリーナは自分より背が高いオレールを見上げながら言った。


「十二年ぶりね。すっかり男前になって」


「母上……」


 混沌とした場の状況に言葉が出ないオレールに対してカリーナは稲妻を落とした。


「結婚はした?子どもは何人いるの?お嫁さんはどこ?途中までしか私の手元で育てられなかったから鬼畜になっていないか心配だわ」


 オレールは遠い記憶で美化されていた母親像を打ち砕かれた。そして少しずつ抹消していたはずの苦い記憶を思い出した。


 女性には優しく父親のような鬼畜にはならないようにと毎日呪文のように唱えられ、実の母からの強大な魔力の攻撃を命懸けでかわしながら育った日々の記憶を。


 オレールはどこかに逝きかけた意識を引きずり戻してどうにか答えた。


「私は独り身です。勇者様の従者に選ばれるという任務のことがありましたから、そのようなことにかまけている暇はありませんでした」


「あら、そうなの。孫が見られると期待していたのに」


 そう言うとカリーナはあっさりとリュネットに視線を向けた。


 リュネットは突然の自身の出生の暴露に混乱していたが、それより目の前に迫っている未知の生命体への対応に体を強ばらせていた。

 震える小動物と化したリュネットをフェリクスが支える。


 だが、カリーナは全員の予想に反してリュネットの前で跪いて頭を下げた。


「ごめんなさい。あなたには何度謝っても謝りきれないわ。このまま知らなければ、あなたは平穏にシャブラ国の姫として過ごせた。でも、私にとっては大事な娘。あなたが傷つくとわかっていても、どうしてもあなたの母としてあなたを抱きしめたい。こんなひどい計画を止められなかった私を恨んでも憎んでもいい。ただ、今だけはあなたを抱きしめたいの」


 その姿と言葉にリュネットは怖がっていたのも忘れて膝をついてカリーナの顔を起こした。


「恨んでも憎んでもいません。混乱はしていますが……あなたが私の母であるというのであれば抱きしめて下さい。……お母様」


 その言葉にカリーナがしっかりとリュネットを抱きしめる。


「ありがとうっ」


 感極まっているカリーナをレンツォとサミルが慌てて止める。


「やめろ!本気で抱きしめるな!死ぬぞ!」


「王妃、お止め下さい。姫は王妃の力に対する耐性がありません」


 二人の静止にカリーナが不機嫌そうに顔を上げる。


「なによ、せっかくの感動の場面なのに」


 そう言って力を緩める。その腕の中では窒息しかけて気絶しているリュネットの姿があった。


 顔が青白くなり辛うじて息をしているリュネットの姿に王が慌て叫ぶ。


「リュ、リュネット!?医者を!早く医者を連れてこい!」


 慌てふためくシャブラ国側の人間にカリーナが慣れた様子で言った。


「大丈夫よ」


 そう言って回復魔法をかける。するとリュネットは何事もなかったかのように目を開けた。


「私は……?」


 慌てた表情をしている周囲を見てリュネットが首を傾げる。


 その様子にカリーナが微笑みながら謝った。


「ちょっと力が強かったみたいね、ごめんなさい」


 その光景を見てオーブがオレールに声をかける。


「あの母親に育てられたら力強く育ちそうだな」


「私たち兄弟が最初に学んだことは母から身を守る方法でした。周囲の者や兄姉が守ってくれなければ生き延びることは難しかったです」


「しかも害意がないから余計厄介だな。ある意味、この国に来て生存確率が上がったんじゃないか?」


「……かもしれません」


 オレールは認めたくないような微妙な顔で微かに頷いた。


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