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魔王が復活しそうなので慣例に従って勇者を召喚したらチートすぎた上に個性が強かった  作者:


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オーブがいたずらをした場合

短いですが、満足しています。

 可愛らしく小走りをしていたオーブはそのままの勢いでフェリクスに抱きついた。


 いきなり現れた美少女に貴族令嬢たちの動きが止まる。


 美少女は長い金髪と大きなムーンライトブルーの瞳を持ち、絵画から抜け出たような可愛らしい顔立ちをしていた。


 その美少女は欠点無しの完璧な容姿に見えたが、一般女性より背が高かった。

 だが、その唯一の欠点でさえも、一般男性より背が高いフェリクスと並ぶと丁度良く釣り合っており、とてもお似合いに見える。


 本の中の一節のような光景に貴族令嬢たちが惚けている一方で、フェリクスは生きた心地がしなかった。


 これがどんなに美少女に見えようが中身は少年であり、自分など一瞬で消し去ってしまえるほどの魔力の持ち主であることを知っている。


 フェリクスが恐る恐るオーブに視線を向けると、美少女にしか見えない大きな瞳を潤ませながら、普段より少し高い可愛らしい声で話しかけてきた。


「フェリクス様、私のことを一番可愛いと仰って下さったのは嘘だったのですか?」


 美少女の大胆な言動に貴族令嬢たちから驚きと羨望の声が上がる。


 フェリクスは得体の知れない悪寒を感じながら言葉を返した。


「オーブ様、何を言っているのですか?私には身に覚えがないことですが」


 その言葉にオーブの演技が続く。今にも泣きださんばかりの表情になり体を小刻みに震わせた。


「そんな……私のことは遊びだったのですか?あの情熱的な一夜も……」


 オーブが今にも倒れそうな表情でよろめきながら後ずさる。そこに貴族令嬢たちがフェリクスに群がった。


「どういうことですの!?」


「フェリクス様!?」


「まさか、不貞を!?」


 詰問攻めになっているフェリクスからオーブがさりげなく離れる。そこにカミーユが音もなく近づいてオーブの首根っこを掴んだ。


「満足しましたか?さっきから王都の勇者様が呼んでいますよ」


 オーブはカミーユに首根っこを掴まれたまま引きずられるように移動していくが顔は満面の笑みで溢れている。


「はい、はい。あの様子だとオレが男だって説明しても信じてもらえないだろうなぁ」


 オーブは自分の仕事に満足していた。



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