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魔王が復活しそうなので慣例に従って勇者を召喚したらチートすぎた上に個性が強かった  作者:


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はじまり

流行りにのって?こんなの書いてみました。

 ある世界に自然と資源が豊かな小さな国があった。魔法技術が発達したその国は、とある事情から長い年月、他国から侵略されることなく過ごしていた。しかし数十年に一度やってくる厄災があるため必ずしも平穏とはいえず、今回その厄災の前触れが出現した。


 この事態にこの国の王は城の一室に重鎮達を集めた。


 絢爛豪華な部屋に大きな円卓が一つある。その円卓を囲むように鎧やローブ、長衣をきた様々な年齢の男たちが椅子に座っている。


 重い空気が漂う中、老齢の宰相が声を出した。


「マユ山の見張りの兵より魔王城から見たことのない魔物が出現していると報告がありました。前回の封印から五十二年。時期的に少し早いですが、封印が解けたと思われます」


 続いて老齢の男性の反対側にいた四十歳半ばぐらいの騎士団長が言った。


「国民たちには結界内に避難するよう指示を出していますが、収穫目前の畑が気になる者も多く、避難に難色をしめしている者もいます」


 長衣を身につけた大神官である白髪の老人が恭しく言った。


「時期が時期ですからな。蓄えは十分あるが、麦が収穫できなければ国民の不安は一層増すでしょう。ここは早急に勇者様を召喚するべきと思いますが」


 その言葉に全員の視線が一箇所に集まる。その先にいるのは男たちの中で一番煌びやかな服とマントを身につけた王だった。五十歳後半で威厳に満ち溢れ堂々と男たちを見据えている。


 王は一同を見回した後、深緑色の瞳を隣に座っている少女に向けた。男たちばかり部屋の中で紅一点である少女は野原の中に咲いた一輪の可憐な花のようである。


「リュネット、良いか?」


 父でもある王の言葉にリュネットと呼ばれた少女は金髪を軽く揺らして微笑んだ。


「はい。覚悟はできております。この国、そして民のためにも封印を成功させてみせます」


 少女の決意に周囲の男たちから感嘆の声があがる。


「さすがは姫様」


「ご立派なご意志です」


 王は周囲の声に頷きながらリュネットを見た。


「王族の中で一番強い魔力を持っているのが、おまえでよかった。お主たちもよいか?」


 そう言って王が視線を向けた先には男たちの中でも一番若い二十代前後の青年たちだった。その中の一人、白に近い金髪を背中までなびかせた美青年が口元だけで微笑みながら悠然と答える。


「ご安心を。私ほどの魔力があれば封印は早急に終わるでしょう」


 その言葉に短く切られた金茶色の髪に襟足だけ長く伸ばした独特の髪型をした青年が鋭い視線を向ける。整った顔立ちで美青年の部類に入るが新緑色に輝く瞳は武人のような強さが見える。


「フェリクス、王の御前だぞ。口を控えろ」


「オレールは相変わらず固いな」


 フェリクスが肩をすくめて軽く笑う。その態度にオレールの視線がますます鋭くなる。そこに中性的な声が割って入った。


「二人とも喧嘩はあとにしてもらえます?僕は早く話を進めたいんですけど」


 声と同じく中性的な外見をした少年にも少女にも見える人がため息をつく。一緒にいる青年とは違い、どこにでもいそうな顔立ちで印象に残りにくい。


 そこに静観していた宰相が忠告する。


「カミーユの言う通りだ。今は一刻を争う」


 その言葉にフェリクスとオレールが頭を下げる。


「はい」


「失礼しました」


 大人しくなった二人を見てカミーユは王に進言した。


「こんな感じですが気持ちは姫様と同じです。で、これからのことですが、僕はカルシの街の封印に行こうと思います。あそこに行くには荒野と砂漠を越えないといけないので慣れていない人には無理だと思いますから」


 その意見にオレールが頷いた。


「それなら私はノゼの街の封印に行きます。私のウマなら途中の山脈も難なく越えていけます」


「では、私はテム河を下ってバルダの街へ行くとしましょう。私の魔力ならバルダの街まで透明の術を使って魔物に見つからずに行けますから」


 王は隣に座っているリュネットを見た。


「そうだな。王都の封印はリュネットに任せよう。三人とも、わかっているとは思うが、封印には勇者の協力が必要不可欠だ。失礼のないように丁重に扱い、勇者の従者としての使命を果たすのだぞ。そして、もう一つの計画を忘れるな」


 その命令にオレールとカミーユは頷くだけだったが、フェリクスは力強く返事をした。


「はい。お任せを」


「各神殿の神官長には伝達済だ。各々、神殿に到着したら、すぐに連絡をするように。旅立ちの準備をするのだ」


『御意』


 三人は声を揃えて返事をすると足早に部屋から出て行った。



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