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BEAST ON BRAVE  作者: 天狼
序章【始まりの悲劇】
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第一話

此処はルグジアス大陸。


【魔法】の技術をまだ使える、有数の大陸だ。この大陸の大半は森林が占めている。


そのとある森林の奥地に彼女は…犬獣人の女は暮らしていた…まるで人目を避けるように。


彼女の白い体毛は美しく容姿は淡麗で、風で揺れる純白のワンピースがよく映えている。


しかし、何故彼女はここで暮らしているのだろうか。


その理由は…彼女は不意ながらも、数え切れない命を葬ってしまったのだ。しかし、誰一人と彼女を責める者は居なかった…そう、それが出来る者はもう彼女の周りには残っていなかったのだから。そうして、彼女は自責を感じ、一人でこの森で住むことにしたのである。


だが、そんな彼女のもとへ一人の獣人の男が訪れる。


…といっても遠目で見えた程度だが、チラリと見えたマズルの毛色から予想すると…体毛は黒、その上、更に黒いフード付きのローブを着ていた。


普通、そんな不気味な容姿の者が森を歩いていると恐怖を抱くかもしれない。


しかし──何故だろうか?


あの時、胸から湧き上がってきた衝動は、自分を責める葛藤ではない、暖かな気持ちで。初めての感覚を彼女はどう表現すればいいのかも分からなかった。


暫くの逡巡。彼女がそうしている間にも、彼は見えなくなって行く。


(今行かなきゃ…二度と会えない気がする。でも…私は…!)


そして彼女は──いや、()は(・)決断する。


(今すぐ行きたい…彼の元へ!)


そう思いを馳せたと同時に足は動きだし、彼の元へと走り始める。荒く息を切らし、森を駆け抜け、木々の間を通り抜け、倒木を乗り越え…最中に耳元を通り過ぎるそよ風がヒュルヒュルと音を立てて行く。


なんだかやけに気持ちが良い。ずっと小屋に閉じ篭っていたからだろうか。


長く生えた小枝が服に解れを作り、毛皮の下の肌を掠り、幾つも擦り傷を作っていくが、今は少しも気にならない。


(もっと早く!彼の元へ!)


すると、眼前の林の先に黒いローブが見えた。


(っ!居たっ!…あ…あれっ…止まらな…わぅうっ!?)


生い茂る林を勢いよく掻き分け、彼の前に飛びだすが…勢いが強すぎたのだろうか、止まれず転がりながら出て行く。


『ん…?うぉお!?!?』

『んあぅッ…ったぁ…はぁっはぁ…!あ、あのっ…』


(や、やったぁ…追いついたぁ…あれ?)


私は息を切らしながらも、精一杯の笑顔で声を掛ける。だが突然私が飛び出して来た事に彼は驚き、その場に尻餅をついていた。


『あぁあ!ご、ごっご、ごめんなさいぃぃぃ!』


すぐに私は深々と頭を下げた。


(きっと彼は私を怒るだろうなぁ…だっていきなり林を飛び出して、驚かせたあげく…尻餅までつかせたんだから。)


恐る恐る彼を見る…すると、驚いた時にフードが取れたのだろうか。彼の素顔が(あらわ)になっていた。


(やっぱり!私の予想は正しかったのね!でも…)


そう、彼の体毛は夜の闇よりも綺麗な漆黒であった。そして顔つきから、狼獣人とわかる。ただ…そうなると気になるのはーー額に小さく飛び出た1本の角であった。


(って、それは今考える事じゃないわ!)


『あのー…だ、大丈夫…ですか?』


そう控えめに尋ねてみるが…地面に座ったまま、私を見つめて動かない彼に、私は首を傾げる。


(どう、したのかな…?)


そのまま数秒が経過した後、流石にずっとこのままなのも気不味いと思った私は、彼の目の前で手を2、3度振ってみる。すると彼ははっとして頭を振り、すぐ様立ち上がった。


『へっ平気!ごめん!その…あまりにも綺麗で…』

『えーと…なにが…?』


尋ねると、彼は照れ隠しのように顔を反らし、指先で口元を掻いた彼は、赤面しながら答えた。


『…キミ。』

『っ!!?』


思わず私は口をつぐんでしまった。なにせ彼の放ったその一言は、彼女の心を確信へと繋げるには十分すぎたのだから。


──私…彼のことが好き。


(そうか…これが、恋。)


これを一目惚れというんだろうな…と彼女が思っていると、不意に彼が口を開いた。


『そ、そういえば…まだ自己紹介してなかったよね!僕はカイル。カイル・ガルフォードだよ。好きに呼んで!』


彼は笑顔でそう言った。少々その笑顔に見惚れていた私も慌てて自己紹介をする。


『あ、え、と…私は、ルナティ・ティファリス!…ルナでいいよ?……カイルは特別だから…』

『ん?ごめん。最後、よく聞こえなかったんだけど…』

『あ、いやいや何でもないよ!よ、よろしくね!カイル!』


私は耳先まで真っ赤になりながら、誤魔化すように手を差し伸べた。


『え、あ…うん!よろしく。ルナ』


握手した手から伝わるカイルの温もりは、後に彼女の楽しみになってゆく。


これが二人の出会いだった。

その後の二人〜握手の後の出来事〜


『あ…ふふっ…』

『な、何笑ってるの?カイル。』

『だってルナ、頭に枝とか葉っぱいっぱい付いてるよ?』

『え?本当に…!?ごめんなさい、今すぐ払うから!』

『待って!…俺が取ってあげるから!』

『へ…?(顔真っ赤)』



イチャイチャ…((*゜∀゜))

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