興味
一緒に連れて行くこと。
クロさんの出した条件は案外単純なことだった。
や、むしろ嬉しいっす!!
だって何もわかんないし、心配だよ。
クロさんは改めてこの世界の説明をしてくれた。
光源の世界。ルスター。
太陽の光に満ちた祝福の世界。
ヒトが存在するのは世界の端。
光を崇め、闇を厭う。
セルの木から生まれた闇が世界を覆う頃、ヒトは人工の光をともす。
暗闇は魔の象徴。
「どうやって行くの?遠くなんだよね?」
《闇に乗っていくよ》
《ぼくはセルの木から生まれた闇の一部。ぼくの本体はセルの木の中にある》
いや、私は?
クロさんは頷くと、しっぽを振って歩き出した。
めっさかわいい。
ネコ好きの血が騒ぐわ~。
実家にいるにゃんこは元気かな。
違うことを考えてるうちにクロさんはあっという間に離れてしまった。
「まって~」
まあ、なんとかなるかな~。
身体がばらばらになったりとかしないよね。
ちょっと心配だけど。
でも、人間の居るところに行けるほうが嬉しい。
なんか、さっきの説明で、闇を厭うとか言ってたような気がするんだけど……
クロさんが闇の一部……大丈夫なのかな…
クロさんに聞いてもいいんだけど、なんか怖いからやめておこう。
《ねえ》
「はい?」
思わず敬語。
《ぼくはあなたをなんて呼べばいいの?》
そういえば自分について何にも話していないことに気づく。
「あきら。あきらって呼んで」
《うん、ねえ、あきら》
「はい、なあに?」
《最初に言っておくけど、君とそっくり同じなわけじゃないからね?》
なんだろう、意味深な発言に、私は曖昧に頷いた。
「どういう意味?」
《実際に行ってみないとわかんないよ》
クロさんはすごく楽しそうだ。
「なんで一緒に行ってくれるの?」
クロさんは振り返って私を見上げた。
大きな青の目が少し細められた。
《面白そうだから。それと、ヒトに興味があった。
君と会って、ぼくに自我ができる前から、闇の一部として世界を見ていたんだ。
他の動物とは違う知性を持った種族の生活に興味を持ってた。
だから、あの日、君が一人で闇の中に放り出された時から気になってた。
君はヒトとそっくりだから……》
そう言い切ってまた歩き出したクロさんを追う。
そうか、初めてここに来た時から、見ていてくれたのか…
夜の間に感じていた安心感の正体もクロさんだったんだ。
そう考えたら、なんだかうれしくなってきた。
ここにきて初めて心から笑った気がした。




