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アウト!  作者: 紫乃
6/21

誰か…

温泉を泣く泣く諦めた私は、とりあえずお家に帰ってきました。

クロさんはいつの間にか居なくなっていて、丘に着いたとほぼ同時に夜が訪れた。

夜は真っ暗で月もなくて普通なら怖いと思うんだけど、昼間より安心するのはなんでかな。

やんわりと包まれて守られてるみたいに感じる。

夜はクロさんもいなくてちょっとさみしいくて、独り言が多くなります。

そして昼間あったことを鬱々と考えてしまいます。

あれは怖かった。

油断してたのもあるよね。

だってこれまでは何にも会わなかったんだもの。


「あれ?そういえばあの時クロさんおっきくなった?」

思い返して気づく。

大きさ自在?

いいぇ、でも壁っぽかった。

形も自在?

…………良いね!!

きっといろんな物に変身できるはずだ!!

明日聞いてみよう。

そんで、色々見せてもらえたら嬉しいな。

ネコっぽいイメージがあるから、小動物系とかもいいなぁ。

「………もしかして、クロさんって人間に変身できたりする?」

いやいや、高望みはいかんよ!

もしかしたら変身なんてできないかもしれないし。

でも…

「お話…したいな」

言語的コミュニケーションっす。

言葉には言葉で返してもらえたら嬉しい。

たとえ言葉が違ってても、頑張って覚えるから。

人の目を見て話すこと。

相手から言葉をもらうこと。

いつもなら嫌でも行っていて、時には面倒に思えていた他者との会話が懐かしい。

3日目にして限界も近いよ。

泣いたことで少し楽になったけど、やっぱり誰かの顔が見たいって思うよ。

なんならこの前セクハラしてきたおじいちゃんでも。

この前言いがかりつけてきたクレーマーのおばちゃんでも。

好きになれない職場の同僚、上司、生意気な後輩でも。

この前別れた元彼でも。



「………だれでもいい」

誰かの傍に居たいな。


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