身辺整理?
あら、そっくり。
双子さんね。
黒髪に黒目の多分同年代の男女の双子さん。
「なんで、連れて来てんの?!」
「早く帰るぞボケ!お前のせいで俺がどんなに苦労したかたっぷり聞かせてやる!!」
ご想像の通り
私、彼女を売りました。
だって面倒そうだったんだもん。
ついでに領主に連れ戻される前に会いたいって言うだけで、一人で来いなんて言われてないもん。
がっしりと腕をつかまれた彼女は大きなため息をついた。
「……あたしたちは、ここに来てから10年たってるの。なんでこっちに来たのかはわかんなかったけど、10年もいれば愛着もあるし、ここに住む決心だってしたわ」
町のはずれにあるレストランみたいなとこで三人でご飯をすることになって、彼女、美月ちゃんはぽつぽつ語り始めた。
魔法使いを名乗るだけあって、彼女の変装は完璧だ。
魔法で染色した金髪を綺麗に結い上げて、眼鏡をかけている。
そして彼、樹くんも彼女と一緒に町に入る直前に金髪に変えた。
彼も魔法使いなのかな。
ついでに私の髪は黒いままだ。
なんでかっていうと、彼らが変えようとしてくれたんだけど、かからなかったからだ。
首を傾げられたけど、わからない物はわかんないもの。
しいて言うならクロさんのせいなんだろうな。
まだ、普通のネコの振りしてるけど、彼らは時々クロさんの様子を窺うように見ているようだ。
美月ちゃんの持ち物だったフードつきのローブでごまかしてます。
「10年前は俺らも高校の卒業式でさ、二人そろって玄関出たとこだったんだよ」
樹くんが少し遠い目をしてる。
美月ちゃんはそんな樹くんの肩をポンポン叩いて笑った。
「二人して変なとこ来て、最初はびっくりしたわ」
「ああ、ここの現領主。あの時はまだ坊ちゃんだったな…あいつの目の前に落っこちたんだよな」
二人は懐かしそうに目を細めた。
「思えば、お人好しでなんでも信じやすくて純粋で…そんなあいつに拾ってもらったから今があるんだよな」
「……だからって、今回のことは許せない」
美月ちゃんがやや童顔の可愛い顔をゆがめる。
大変な恩義を感じてはいるけど、何かが気に食わなかったんだろう。
「この世界で生きていく方法、魔法の使い方、いろんなことを教えてくれた。だから俺たちもここが住みやすくなるように治安自治に協力したんだ。この町も来た当時はお世辞にも美しいとは言えなかったし」
町を見ていて、すごくキレイだって思った。
外観や、衛生面にすごく力を入れてる印象。
それをこの二人が頑張って指導したなら、すごいことだと思う。
「そう、頑張った。一生ここにいることになるなら少しでも良いようにって……。三人でこれからも一緒に頑張っていこうねって…なのに……」
ギリギリ……
美月ちゃんの歯ぎしりがすさまじい……
あんなに可愛い顔が崩れきってる!
「一か月後にあたしとあいつの結婚式ってどういうことだーーーーーー!!!!!」
ああ、マリッジブルーですか?
彼氏いない私に対する挑戦と受け取ってよろしいかしら?