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アウト!  作者: 紫乃
14/21

圏内?

カルム伯爵領。

フェラス火山とイリシャ湾に挟まれた領地。

農業も漁業も発展し、領民の笑顔あふれる明るい港町だ。

特に大きな問題もなく、人々にとっては住みやすい土地だ。

そんなカルム領、領主から先だってお触れがあった。


[黒髪、黒目の女を見つけ次第領主の館に連行]


とのこと。

お祭り好きな領民たちは、みんなこぞって参加した。

一週間たってもそれらしい女は現れず、追加のお触れには


[賞金あり]


と追記があった。

一度は収まりかけていた熱が再度盛り上がり


なんともあっさりと町の広場に姿を現した女は、あっけなくも兵隊に連れて行かれた。


長年独身を貫いてきた領主がとうとう結婚かと、先走った妄想が飛び交う中。


当の女は


やっと爆睡から起き出しました。



「クロさんや」


《はいはい、なんだね、あきらさん》


「今は夜ですか」


《まだ日は沈んでないね、後10分くらい》


じゃ、そろそろか

あくびをして周りを見渡す。

寝る前と変わらない牢屋内は薄暗い。


「この世界って言葉通じるの?」


《通じないよ、夜の成分を取り込めたらこの世界の言葉もわかるようになるんだけど》

アラ賢い。

さすがクロさん

《下見に来たとき、やっとけば良かった》

……うん、うっかりなとこもクロさんだからね。

許そう。


廊下の奥に明かりを持って立っている牢屋番が、何やらこっちを見て引きつっている。

そりゃわかんない言葉で話してる不気味な女だもんね、私でも怖いわ。


《ああ、日が沈む》

抱っこしていたクロさんがうっすらと発光したように見える。

青白い光に包まれるクロさんは綺麗だ。

見下ろしていた私の顔に近づいて

唇をなめられた。

びっくりして顔を離す。


「おい、なんかあの猫光ってんじゃね」

「こえー、なんなんだよあれ……」


牢屋番の言葉がききとれるようになった。

ホントになんでもできるのねえ。

ママは鼻が高いです。

でも、最初からやっててくれるともっと嬉しい。


「おい、領主様はまだ来ないのか」

「もう少しだ、頑張ろう」


……なんか、領主様が来るらしいですよ。

クロさん、なんでそんなに楽しそうなんですか。

早く抜け出そう。

携帯探して、逃げよう。

なんか、嫌な予感がします。


「クロさん、逃げるよ」

《了解》


にゃー


一度体験したことがある闇色の世界に

闇を移動するクロさんにつかまって

とけるように消えた私たちを慌てて探す声がする。

とにかく携帯、探さないと。

でも、広そう。

どうやって探そうかな。

……ん?


「クロさん、いま通り過ぎた部屋。携帯の着メロなってる」


まさか、電波入ってんの?

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