再び?
どうしてこうなった?
正直に言って、頭が痛い。
隣でうきうきしてるバカ猫を思いっきり放り投げたい。
大きなため息に、キラキラの青い瞳がこっちを見上げた。
あの時ちゃんと相手しとけば良かった。
《あきら!きいて!》
「んあ?!」
帰ってきて早々に黒猫のタックルを受けました。
ああ、夜勤明けの身体にはたいそう辛いんですが……
首に縋り付いて離れない黒猫をネックレスの様にぶら下げてなんとかリビングに向かう。
爪立てないから痛くないんだけど、重い。
クロさんちょっとおっきくなった?
「で?」
さっそくお風呂に入る準備をしつつ、荷物を下ろした。
《僕、知らなかった!!世界にはたくさん世界があるんだね!!》
???
「今度は何を見たの」
クロさんは器用にもしっぽで本棚を指した。
まさか……
《あきらの本棚は世界がいっぱい!》
あ、ちょっと恥ずかしいんですが。
若いころから買ってるライトノベルの厳選品とか、海外の某児童小説とか……
「そう、字が読めたかー。偉いね」
ぐりぐり。
頭をなでると嬉しそうにしっぽをくねらせた。
《僕、行きたい》
無理だろ
元の世界さえ帰れないバカ猫が
「頑張れー」
眠さに負けた。
早くお風呂入って寝よう。
《あきら、明日のお仕事は?》
「休みー」
お風呂から上がって、髪を乾かして。
さて寝るぞって思った時、クロさんが何やらでかいスポーツバックに物を詰め込んでいた。
あれ、ほんとにどうなってるんだ。
なんで二足歩行で前足に荷物持って歩けるんだ?
なんか嫌な予感がするけど、寝たもん勝ちね
見なかったふりをして私は布団に滑り込んだ。
目が覚めたら異世界でした。
ご丁寧にも私の着替え一式、食糧の入ったバックも一緒。
「クロさん」
《え?》
「帰れるの」
《大丈夫!!さっきあきらが寝てる間にこっちに来てみたから下調べはばっちりだよ!!》
なんて用意周到
ママは悲しいよ
一人で行ってこいや
前回で懲りたんだよ
また死にそうになったらどうしてくれる
《こっちの一日は元のところの一時間みたい。明日休みだもん、遊べるね♪》
まじで?
その分歳とっちゃうってことでしょ。
アラサーの気持ちも汲んでください
これ以上肌がカサカサになりたくないんですけど。
行こう行こうって見上げる目はキラキラで
基本的にクロさんに甘くなった私は折れるしかなかった。
でもね、明らかに金髪碧眼の人たちの真ん中に突然現れたら怪しまれるだろ
じりじり狭まる包囲網に引きつった微笑みで一発殴った私は悪くないと思う
無駄に力のあるペットを飼ってしまった主人の災難……
連載終了と言っておきながら、続きが書きたくて……
感想などいただけましたら嬉しいです。