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アウト!  作者: 紫乃
10/21

一緒に

《起きて、あきら!》


緊張、してたはずなのに、熟睡してしまいました。

気づけば、すっかり闇が晴れて、青い空がのぞいてた。

そしてクロさんの切羽詰まったような声に覚醒する。


「--------!!-------------!!」


「え?!」


飛び起きれば周りを武器を担いだヒトに包囲されていた。

殺気立って今にもとびかかってきそうな雰囲気に、顔が引きつる。

一人なら可愛いって思えたと思う。

だって小人さんです。

周りにいるのは。

身長は私の手のひら位。

持ってる武器も小さな槍と弓。

でも、こんなに囲まれるとマジで怖い。

あれ、後ろのほうで構えてるのはもしかして大砲ってやつデスカ?

なんだっけ、昔こんな話読んだ気がする。

そう、確かぐるぐる巻きにされるのよ。


《あきら、一旦森に逃げよう》


クロさんが首で示した方向に大きな森。

私は頷くとゆっくり立ち上がった。


「-------!!-------------------------------!!」


ひい!

一斉に武器を構えちゃったよ!!

なに言ってるかわかんないよ!!

慌てて足を踏み出すけど、ごちゃごちゃいて踏みそうで怖い!


「---!!」


いっ、イタイイタイ!

ちょ、マジで矢が飛んできた。


《あきら!早く》


何とか包囲を抜けて走り出す。

足元にクロさん。

後ろからは小さいけど殺気立って追いかけてくる小人たち。


「ちょっとクロさん!めっちゃ攻撃的だよ」


《こんなに攻撃的な種族だって知らなかったんだ》


クロさんの焦った声に、それはほんとだろうと思えた。

だってクロさんも一生懸命走ってるんだもん。


《だって、夜はみんな寝てた!!》


そりゃそうだろ。

思ったけど言わない。

クロさんも案外うっかりさんです。


「げほげほっ!ちょ、もう走れません……」


アラサーは体力無いって言ったじゃん!


近くの岩に手を着いた。

と、思ったら。

なんか、すり抜けた。


《あきら!?》


最後にクロさんの声が聞こえた。





「うぎゃん!」


べたん!

絶対そんな音がした。

寒い!


「あれ?」


職員玄関だ。

雪がちらちら降ってるのが見える。


「あれ、あきら先輩?なにしてるんですか」


振り返れば、あの日一緒に夜勤をした後輩。


「先に帰ったと思ってました。……風邪ひきますよ、大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫」


何日もあってなかったように感じる後輩は、なんかすごくいい人に見えた。

気が利かないとか、全然動かないとか思っててごめん……


「さ、帰りましょー。明日も勤務ですねー」


後輩に手をかしてもらって立ち上がる。

今朝のお局様の愚痴を言いつつ二人で駐車場に向かう。


「お世話様でした」


お決まりの挨拶。

いつもは煩わしい事が、今日は少し大切に感じた。

車に乗り込んで、カギを回す。

入れっぱなしにしてたCDがなって、ほっとした。

帰ってこれたことに、安堵。

変わらない日常に感謝。

投げ出したかった日常が大切なものに感じた。

少し目頭が熱くなって、視界が滲んだ。

明日の勤務が終わったら、久しぶりに実家に顔を出してみよう。

たまりにたまったレポートは……何とかなるよ、多分ね。


《ねー》


アクセルを踏もうとして、凍りつく。


《ここどこー》


ゆっくり振り返ると、助手席に真っ黒な毛並みのしっぽをぴんと立てたしゃべる黒猫。


「………だめだ、とりあえず帰って寝よう。はい、クロさん危ないから座りなさい」


《はーい》


聞き分けのいいネコを飼い始めたと思えばいいか?

いや、うちのアパート、ペット禁止……。


ま、なんとかなるかー…。

初連載終了させていただきます。

お気に入り登録、ありがとうございました!

一万アクセス突破記念♪短編乗せたいです!

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