自由に
自由に
僕は自由になりたかったんだ。
ただ、それだけなんだ。
こんな結末を望んだわけじゃない。
ただ、束縛されたくなかっただけ。
皆と一緒に此処から抜け出したかった。
ただ、あの場所の創る檻の中から出たかっただけ。
それなのに、何でこんな結末になったんだよ。
ただ、皆と一緒に居たかっただけなのに。
ただ、みんなの傍でバカ騒ぎやって居たかっただけなのに。
ただ、あの場所に囚われ続けるのが嫌なだけだったのに。
××くんや**、そして君のようにここからでたかっただけなのに。
こんな結末を望んだんじゃない。
こんな結末を望んだわけじゃなかったんだ。
どこで間違えたのかわからない。
でも、僕は気づいてしまった。
僕はここから出られない。
皆のようにはなれない。
だって、僕は幻想でしかないから。
実体がないから。
ホルマリン漬けにされた、
仮初の身体に宿っているだけの、
人工物としか形容出来ないもの。
頭脳と魂で維持された、
幽霊のようなもの。
厳密にはいえない。
僕は世界で最初の、
僕は世界で最後の、
試作品でしかないから。
ただの意識体でしかないのに、
そんなこと望むから。
だから、こんなことになった。
なんでだよぉ。
僕はただ、皆と一緒にいたかっただけなのに。
僕はただ、皆と同じでいたかっただけなのに。
それが、なんで、こんなことに。
わかってた。
自分が皆と同じじゃないこと。
自分は感情を持ってはいけないこと。
自分は檻から出てはいけないこと。
それでも、認めたくなかったんだ。
でも、それがいけなかったんだ。
いやだよぉ。
みんな、なんで死んじゃったのぉ。
理由はわかってる。
でも、わからない。
みんなにあいたいよぉ。
みんなわらってよぉ。
なんで冷たいの、
なんで笑ってくれないの、
なんで動かないの、
なんで話さないの、
なんで僕に気づいてくれないの、
なんで、僕の目から水がでるの、
なんで、僕は胸が痛いの、
なんで僕にいろんな事教えてくれないの。
みんな、笑ってよぉ。
なんで、僕は意識体なの、
なんで、僕は実体がないの、
なんで、僕は自由になれないの、
こんなの、いやだよぉ。
自由に、なりたいよ。
かぜに、なりたいよ。
ここから、でたいよ。
僕は、人になりたい。
生まれ、変わりたい。
自由に、なりたいよ。
希望を、もちたいよ。
人生を、生きたいよ。
自由に、なりたい。