冒険者って鬼畜?
俺は美少女リィシェと共にルグルガに訪れた。
「今のルグルガは危険なの」
「危険って?」
この町の人たちをみる限り、危険そうには見えないし、なんなら楽しそうにしている。
町の看板にカジノの表記が見えたのは気のせいだろうか?
「つい最近、綴食い(つづりぐい)という魔物が現れてからルメニア周辺に影が現れ始めたの」
綴食い?最初にみた巨大な雲みたいな奴か。
「俺たちが戦った影もソイツの影響だったのか」
「うん、だから今はこの町の冒険者と騎士を集めているの」
その言葉を聞いてピタリと体が固まった。
「騎士?」
冒険者は冒険者証明書で存在は知っていたけど騎士までいるとは思わなかった。
「俺、騎士になりたい」
目を輝かせながらそう言うと、
「あっ、ユウはもう冒険者証明書を持っているから騎士にはなれないの」
一言で夢が壊れてしまった。
「じゃあ、聖剣を授かって序盤からチート系を目指す夢も」
「ないよ?」
オーバーキルされた、もう異世界で生きていく意味はあるのだろうか?
「一旦冒険者ギルドに行ってユウのステータスを確認してみよっか」
ステータス、それは異世界では極当たり前のようなことであり、すなわちこの世界で生きていけるかが決まる大事なイベントだ。
「それにユウは法則の使い方が分からないみたいだし」
「ロウ?」
はて?ロウとは何の事だろうか。
「まぁ、後で話すから先に行こっか?」
「行きましょ、行きましょう。今すぐに」
冒険者ギルドは黄色い屋根で4階建ての広そうな建物だった。
「冒険者ギルドへようこそ、リィシェ様と...新規の方ですか?」
ギルドの受け付けの人が訪ねてきた。
「この人冒険者証明書を持っているのにステータスが表示されてないんです」
リィシェが指を指してきた。
「はて?そのような前例は見たことがありません、不思議ですね」
「少々お待ちください」
受け付けの人が石板をもって戻ってきた。
俺は石板の前で固まっていた。
「では、ステータス診断を行います」
受付の女性が、事務的に言う。
「はい……」
「手を、こちらへ」
言われるがまま、掌を透明な結晶板に置く。
ひんやりとした感触。
この世界で俺の最強が噂されたらどうしよう。
この世界の女性冒険者からチヤホヤされて、
次の瞬間――
《診断開始》
文字が空中に浮かび、ぱっと光った。
「お、出た出た!」
リィシェが身を乗り出す。
「どんな感じ? 剣士? 魔法剣士? 隠し職?」
俺も、ちょっと期待した。
さすがに“何か”あるだろ、と。
《名前:――》 《年齢:17》 《職業適性:未確定》
「未確定?」
「え、未確定って何」
嫌な予感がした。
能力 数値 ギルド評価
HP 410 低め
MP2 60 少なめ
STR(筋力)46 平均以下
DEX(器用)238 バカ高い
AGI(敏捷) 48 平均
VIT(耐久) 44 脆い
INT(知力) 58 少し高い
LUK(運) 146 高い
「……」
「……」
「……あのさ、初期値?器用だけたかいんだけど?」
リィシェが首を傾げる。
《固有適性:なし》
「なし!?」
「そんなことある!?」
受付の女性が、石板を覗き込んで眉をひそめた。
「……少々、お待ちください」
再計測。
《再診断中》
一拍。
《固有適性:不明》 《備考:観測不能》
「観測不能?」
「ちょっと待って、急に怖くなってきたんだけど」
周囲の冒険者たちが、ざわつく。
「バグじゃね?」
「またかよ」
「前も一人いたって噂……」
(前も?)
「ま、まぁ冒険者はスキルやロウで成り立ってるし。ステータスもポイントで再構築できるから」
「確かに数値は低いけど」
口角が上がっている。
「それ、慰めで良いんだよな?」
「事実だよ?」
《補足表示》
突然、石板に新しい文字が滲み出る。
《更新耐性:EX》 《状態:世界干渉中》
「……は?」
一瞬で、表示が消えた。
「今の見た!? 見えた!?何か出たよね!?」
受付の女性が慌てて首を振る。
「い、いえ。こちらには何も……」
「なお、武器適性は――」
受付の女性が、慌てて続きを読み上げる。
《装備:初期剣》 《適合率:異常》
「異常!?」
「初期剣だよ!?」
「て言うかその武器、石と鉄だけで作られた新米鍛冶師でも作れる武器だよwww」
(リィシェだけでなく受け付けまで笑いだしやがった)
これで俺は決心したのだった。
この武器で英雄になって見せると。
第3話 終
今日は2話更新しました。
暇なときにちょくちょく書いてます。




