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vol.7【変化と出会い 第4話】
夜八時が過ぎていた。宇崎は店を閉めると「お礼に」と言って
あたしにお酒とごはんをおごってくれた。
宇崎はいろいろな話をしてくれた。美大でデザインを専攻していた宇崎は、
もともと、下着メーカーのデザイナーとして働いていたが、
二十五のときに独立し「レパブリカ」を立ち上げたそうだ。
宇崎は現在、二十八歳。三十になるまでには
「レパブリカ」を有名ブランドにしたい、ということを豪快に語っていた。
あたしはそんな宇崎の話やタバコを持つ手の独特なしぐさ、
夢を語るときの少年のような表情に、好感を覚えていた。
どうせ「DIY」に勤めていなかったら、
宇崎はあたしなんか相手にしなかっただろう。
それでもあたしは、イイ男を目の前にしてすっかり舞い上がっていた。
「毎日大変で、毎月カツカツだけど、
やっぱり自分の好きなことをしてメシが食えるってのは
最高に幸せなことだよね。もちろん今のままで満足してるわけじゃない。
僕は『レパブリカ』をもっともっと大きくしたい。それだけなんだ」
宇崎の力強い言葉を、あたしは素直に羨ましいと思った。




