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vol.58【代表取締役 宇崎洋平 第5話】

代表取締役、榊えみりはすぐに見つかった。

総務部のいつものデスクに突っ伏していた。


「部長」

「……。」


「受付に、あの紙を貼ったのはあなたですよね?」

「そうよ」


「どういうことか、部下である私に詳しく説明してください」

「悪いけど、そんな気分じゃないの」


「大丈夫です。オフィスビルの自動ドアはわたくしが

しっかりロックしておきましたし、あの紙も、

芸能レポーター達が競って写真を撮るような、

目立つ位置にしっかりと貼りなおしておきました」

「さすがあたしの部下、いい仕事するわね。電話線は?」


「電話線については存じませんが、インターネットを含め、

外部との連絡手段を全て断ち切ったのも、あなたですよね」

「じゃあ、どうしてあたしのデスクの電話が

さっきからガンガン鳴りまくってるのよ?」


「今証明致します」

「やめて!」


榊えみりを無視し、あたしは、総務部元社員が座っていた

デスクのパソコンの電源を入れ、受話器を持った。


「電話は使えなくなっています。パソコンに至っては電源すら入りませんね」

「このパソコンはちゃんと電源入るんだけど」


「あなたのパソコンを見れば一目でわかります。

それ、有線式ではありませんよね」


総務部含め、会社のパソコンは全て社内ネットワークで繋がっていた。

社員のパソコンに電源すら入らないのに、

えみり部長のパソコンにだけ電源が入る理由なんて、

パソコンをちょっとかじった人間ならすぐにわかる。


えみり部長のパソコンは、私物らしきノート型。

ビジネスには場違いなメタリックグリーンの高級ノートパソコンには、

ケーブルが一本も差し込まれていなかった。


「はぁ……広告塔のミューナには全てがお見通しみたいね」

「ええ」


「見てごらんなさいよ、このパソコン。

どこのテレビ局も同じこと放送してるわ」

「わざわざパソコンなんか見なくても、

私の携帯でも同じこと放送してますよ、どこのテレビ局も」


「じゃあ今から言う情報も、もちろん知ってるわよね」

「はい」


「あたしが宇崎洋平と交際してたこと」

「ずっと前から知ってましたよ」


えみり部長がデスクからサッと顔を上げた。


スッピンだ。真っ青な顔をしている。

こんな顔のえみり部長を見たのははじめて。素で退いた。

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