vol.46【腐った果実 第2話】
そんなある日、マルキュー閉店後、
真面目なあゆみ販売員が事件を起こした。
「あゆみ、空のダンボールがバックヤードに
たまっちゃったから、捨ててきてくれない?」
「店長~、そんな仕事ミューナにやらせときゃ
いいじゃないですか~!」
「あたしはミューナじゃなくてあゆみに頼んでるの」
「わかりましたよ。けっ! 元巨デブのクセに……」
「今なんて言った? あゆみ販売員さん」
「も・と・きょ・で・ぶ・の・く・せ・に、
って言ったんだよ、トップモデルのトーヨコミューナ様。
聞こえなかったかしらぁ!」
ガシャン!
あゆみは、がっちり固定されている『レパブリカ』の
ディスプレイを力任せにひっくり返した。
床一面に派手な色使いの下着が撒き散らされ、
商品を置いてあった鉄パイプの棚が壊れた。
「あゆみ! あんた、今自分がなにやったかわかる?
店の商品を壊すなんて……ふざけたことやってんじゃ」
「ふざけてるのはどっちだよ!
あんなもんウチの商品じゃねえ! オマエモナ!」
あゆみはあたしに飛びかかると、顔面をグーで殴った。
あたしもあゆみの顔面をグーで殴りかえした。
店内が修羅場と化した。
「ミューナ? あゆみ? やめ……やめなさい!
あゆみ! ミューナの顔を殴るのだけはやめなさい!」
「うるせえよ!」
愛店長が叫ぶのも聞かずに、あたしとあゆみは互いに
悪口を浴びせながら殴り合いの激しいケンカをした。
「テメェみてえな奴には、
あたしらの気持ちなんてわかんねーんだよ!」
「ちょっとはわかるよこの高校中退!」
「あんだとぉ!」
「どーせ、あんたもカンナも
“店に所属しないで桃売ってた”んだろ!」
「どういう意味だよ!」




