vol.42【折れた広告塔 第3話】
ガラッ!
「ビール!」
「あー、生中でいいよね?」
「具はねえ、ある奴全部入れて!」
「わかった。えーと、豚肉にイカに海老にホタテに揚げ玉に
コーンにネギ……ツナも入れるとおいしいよ」
「じゃあお願い! あー、けっこう時間かかるねえ、レアでいいレアで!」
「ダーメ、焼肉はレアでもいいけど、お好み焼きはウェルダンで!」
さっきの「自主規制」はどこへやら。
ウーロン茶はビールになり、イカだけだったはずの具は
全種類になり、出てきたお好み焼きに、
マヨネーズとタレと青のりをふんだんにかけ、
何回も何回もおかわりし、三十分で帰る予定が一時間を過ぎてしまった。
「あ~あ、食った食った。うわ、スゲー腹。臨月だよこりゃ」
「みうなちゃん、急なダイエットは良くないよ。
明日その腹でマルキュー行くの?」
「明日は実質的にお休みの日。ジム行ってくるだけ」
「今のみうなちゃん、一週間に一度も休みがないのと同じでしょ?」
「ホントだよまったく。エステやスポーツジム
なんか行かなくても痩せるっての。あ、麻巳子元気?
こういう生活してると麻巳子と遊ぶ暇もなくてさ……」
「麻巳子とは、別れた」
「え?」
「最悪だよ、あいつ。ウチのミワをエステに勧誘していやがった」
「はぁ? あのポスターのミワさんを?
エステに行ったって治すとこないじゃん!」
「だよな、そんなこともわかんないのかね?
あ~あ、麻巳子、もっと頭のいい女だと思ってたのにな」




