vol.41【折れた広告塔 第2話】
(翔君のお店の、お好み焼き食べたい)
一度考えると、舌にこびりついたあの味が蘇ってきた。
(飲み物、ビールじゃなくて、ウーロン茶頼めばいいわよね)
(マヨネーズとタレは控えめにして、
青のりバンバンかければカロリーも少なくて済むし)
(豚肉は食べないようにしよう。
具はイカだけ、イカだけイカだけイカだけ……)
(ああっ! 一回だけなら、一回だけなら……)
気がついたら携帯のメモリーの中に入れておいた
翔君のお店に電話をかけていた。
「はい、お好み焼きのしょ……」
「翔君久しぶりあたしみうなお好み焼き食べたい!」
「みうなちゃん? スゲー!
『トーヨコミューナ』から電話かかって来た」
「その呼び方やめてよ~! 読んだでしょ?
あたしのインタビュー。ただのギャグでしょ、ったく!」
「みうなちゃん、いいの? そんなところで大声出しちゃっ……」
「あたし気に入らないの『トーヨコミューナ』って呼ばれるの!
とにかくお好み焼き食べたい! 今他にお客さんいる?」
「ああ、さっきオタクが一人来たけど、もう帰ったよ。
今日は平日だし、この時間からはほとんど客来ないから、
そろそろ店じまいしようかなって思ってたとこ」
「ゴメンね、五分でいく五分でいく!
お好み焼きだけ食べて三十分で帰るから!」
「いいよ~、そんなに気ぃ使わなくても。
みうなちゃんのためにお店開けて待ってま~す」
電話を切った後、あたしは翔君のお店に直行した。
お好み焼き、お好み焼き……。




