vol.40【折れた広告塔 第1話】
次の日マルキューに出勤すると、
店頭にえみり部長が来ていてさんざん説教を喰らった。
「あのファッション誌の出版元から苦情来た。
もう、金輪際『MYU―NA』の広告は載せませんだって」
「……。」
「ミューナ、あたしが言ってること、意味わかる?」
「はい。スポンサーが一社減ったということですよね」
「そう。このご時世に『スポンサーが一社減る』ってことが、
会社にとってどれくらいのダメージを受けるか、
これから身をもって知ることね」
「申し訳ございませんでした」
「じゃ、せいぜいお仕事頑張ってちょうだいね。
痩せても枯れても、あんたはウチの広告塔なんだからさ」
えみり部長はそのまま中目黒に戻っていった。
愛店長、あゆみ、カンナのあたしに対する態度もがらりと変わった。
「トーヨコミューナ、ジュース買って来て~」
とカンナに命令されると、たとえ接客中でもパシリを命じられる。
ジュースを買って戻ってくると、客があたしを見て笑いながら
レジで金を払っていて、レジカウンターの中にはカンナ。
売り上げもカンナに全部横取りされる。
「今日の売上目標。あたし六十万。あゆみ五十万。カンナ七十万。ミューナ五万」
「カリスマモデル兼ショップ店員」のはずの
ミューナがカンナの「パシリ」扱い。
いつのまにか「それ」が『DIY』の商品になってしまった。
そんな凄惨なイジメを受けても、あたしは言われるままに
「トーヨコミューナ」を演じきるしかなかった。
週に四日、マルキューに出勤して販売の仕事をこなし、
あとの三日をエステとスポーツジムに通う日々は変わらなかったが、
会社はあたしを「ただの広告塔」として扱っていた。
その上、もっと痩せろ、もっと綺麗になれ、もっと食事制限しろ、
道を歩けば、あ! トーヨコミューナだ写メ取って~!
あたしは、そんな日々に疲れきっていた。




