表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/79

vol.37【蔑みのニックネーム 第3話】

「ど、どうしましょう。前日に考えてきた質問、

全部こんな感じなんですけど……」

「あんたプロのライターなんでしょ? 

言葉を扱う仕事してるんだからさあ、

その場で質問ぐらいパッと考えられないの?」

「わ、わかりました……で、ではミューナさんの子供の頃について……」

「ああ、子供の頃ね。苗字が『高木』でルックスがこれだったから、

ずっと『ブー』とあだ名されていじめられていました。ハイ次の質問どうぞ」


ライターは『はじめての宣材写真』をサッと隠して、言葉を続けた。


「た、大変恐縮ですが、その頃のミューナさんのことについて、

詳しく教えて頂けますでしょうか?」

「大丈夫ですよ。あたしも『ミューナ』じゃなくて

『高木みうな』の頃の話をしたかったんです」


ライターは露骨にホッとしていた。

あたしは矢のようにしゃべりまくった。


「一応、これでも東京生まれで、私立の中学を受験してからは、

エスカレーター式でお嬢様短大に行けるガッコにずっと通ってて」


「中学の頃はあたしのことを『ブー』って呼ぶ奴らを見つけては、

その場で頭をグーで殴っていましたね。

でも、怒るのは疲れるんで、

高校の頃は陰口叩く女けっこういましたけど、全部シカトしてました」


「短大があったのは横浜。短大に進んだ頃自宅を出て、

日吉にアパートを借りました。今でもそこに住んでます」


「中華街にはよく行きました。友達とご飯食べたり。雑貨屋冷やかしたりね」


「これでも一応美容科卒なんですけどね。

この会社に内定が出た時は『販売員になれる!』って素で喜んでましたけど、

入社したらここに配属されて。理由はあたしがブスだったから」


そんなことをさんざん喋っていたら、ライターが『最後の質問』をした。


「さっき、日吉にお住まいと伺いましたが、ミュー……いや、

高木さんがこれ以上モデルとして有名になって、

もっとお金持ちになったら、住みたい街ってありますか?」


「そうですねえ……日吉には飽き飽きしてますから、

田園調布にドーンとデカイ家建てて、

ツバメ囲って、メイド雇って、

左団扇の生活でもしたいですねえ」


東京生まれ東京育ちのあたしが本当に住みたいのは「海外」だが、

わざと「田園調布」と言ってやった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ