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vol.33【お得意様は苦労人 第3話】

翌日からも、戦場のような日々が続いた。

相変わらず、あたしのノルマが一番多い。

二日目にしていきなり、八十五万と言われたときは

ビックリしたけれど楽々ノルマクリア。


毎日毎日無茶数字を課せられても、すべてクリアしていた。


しかし、あたしの勢いは、

二週間ほど働いたころに、いきなりストップした。


買い物目的ではなく「ミューナ見物」目的で、

女子高生が大量にやってくるようになったからだ。


開店時間から午後三時ぐらいまでは、

平日が休みになるOLや、若い主婦、年齢・職業不詳の

怪しげな女などが主に店に来て、とりあえずなにか買っていく。


しかし、三時を過ぎると、いろいろな制服を着た女子高生の

集団に囲まれ「DIY! 渋谷09店」は動物園と化す。

女子高生達は決して店内には入らず、

遠巻きにあたし達四人を観察しながら、


「ミューナだ」

「ミューナが接客してる」

「ミューナがモップかけてる」

「あ、肩からブラヒモ見えた。スゲー色」

「ちょっと『レパブリカ』冷やかしていこうよ。

うわ、スゲーセンス! これもこれもこれも!」


女子高生達は、店舗の死角にある『レパブリカ』コーナーの原品を、

ベタベタ触って手垢まみれにしながら、

小声でブツクサ言っている。話題もあたしだけではない。


「あの、あれあれ、あゆみだかカンナだか、こないだ雑誌に載ってたよ」

「あの二人もモデルなの?」

「二流のね」

「なになに?『二流のモデル』って?」

「なんか、ファッション雑誌じゃなくて、情報誌? 

あれの『最先端! お台場デート』なんかに

偽カップルの女役で出てきて、

デートのフリしてるとこ、写真に撮られてんの!」


「ダサッ!」

「ダサいよね~、あんなのに出て幾らもらえるんだろうね?」

「そんな痛いことしながらじゃないと

やっていけないほど、ここ給料安いのぉ?」

「うわっ!ここに就活しようと思ってたけど、やめといた方がいい?」

「ショップ店員なんてどこも給料安いよ。

絶対事務とかの方がカネになるよ」


「そーだよね。ショップ店員は立ちっぱだけど、事務なら座れるし」

「事務ってパソコン出来ないとダメっしょ」

「え~! パソコンなんて、

インターネットしかできなーい!」

「それヤバイって! ワードとエクセルってヤツ? 

あれ使いこなせないと事務になんてなれないよ」

「あんたできんの?」

「……できない」

「あっはっはっはっは! ウケる~!」


ったく、どいつもこいつも。

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