vol.27【あたしはミューナ 第2話】
総務部にフルタイムで出勤することはなくなった。
そんな生活を送っていても、給料はちゃんと支払われる。
しかも、あたしは会社の専属モデルということで、
その分、給料を上乗せされることになった。
増えた給料で、生まれてはじめて自分自身にお金を使うことを覚えた。
デパートで化粧品を一式買い揃え、
空いた時間には自分で化粧のレッスンをした。
エステに通うのは週一~二回程度。食事制限が最も重要と言われたので、
真面目に食事制限もした。
大好きなビールや甘物、油物を控え、なるべく自炊をし、
3:7の割合で麦の混じったご飯を主食とした。
肉をなるべく少なくし、緑黄色野菜、その他の野菜、魚、卵などを
中心とした食生活を送るようになった。
エステのマニュアルを見て、自主的に毎日のように半身浴を行った。
もちろん、運動も欠かさなかった。
会社の経費でスポーツジムの会員になったあたしは、
ジョギングやエアロビクスは膝に負担がかかるからという理由で、
水泳や水中ヨガを中心に、週三回スポーツジムに通うことになった。
こんな努力、生まれてはじめてのこと。「高木みうな」から
「ミューナ」に変身したあたしは燃えていた。
こうして、あと数日で九月一日、という日を迎えた。
「MYU―NA」の二回目の広告写真、撮影日である。
もはや、あたしは「デブ」ではなかった。
しかし「モデル」と呼ぶにはまだ難がある。宇崎さん曰く、
「健康的なモデル体型になったが、色気ゼロ。
欲を言えば『華』がもっともっと欲しい」
ぐらいのルックスを手に入れたあたしは、
撮影後、正式に九月一日から「DIY! 渋谷09店 販売員」として、
週四回出勤し、残りは全てスポーツジムと
エステに通う生活を送ることになった。




