vol.25【名前が変わった日 第4話】
メイク室を出ると、すでに写真が何枚か出来上がっているようだった。
撮影スタジオにはパソコンとプリンタが置かれていて、
高機能のデジカメで撮った写真をすぐにプリントアウト
できるようになっている。カメラマンや、メイクさんに混じって、
宇崎さんやえみり部長が写真を見ながら真剣に話し込んでいる。
「まあ今日は仮撮影で、たしかに最初はこういうコンセプトですけど、
さすがにこの写真は使えませんねえ。カメラマンさん気持ちはわかるけど、
もう少し真面目に撮りましょうよ~。
全部ピントブレてるじゃないですかあ!」
宇崎さんの声だ。それにつられて全員が笑っている。
宇崎さんも人をおちょくるのもいい加減にしてほしいなあ……。
「皆さん、彼女の芸名はすでに決めてきました。
写真の右下に大きく『MYU―NA』というクレジットを載せます」
宇崎さんは、すでにあたしの芸名まで
考えてきているようだった。MYU―NA?
「みうなさん」
急に、宇崎さんがあたしの方に向き直った。
「高木みうなさん。あなたの名前は、今日から『ミューナ』
トップモデル『ミューナ』です!」
こうして「高木みうな」という名は封印され、
あたしは今日から「ミューナ」と呼ばれることになった。




