vol.2【あたしはコンプレックスの塊 第2話】
こんなあたしにも親友はいる。唯一あたしを「ブー」と呼ばない、
同じ短大卒の菊池麻巳子。
あたしたちが通っていた短大は、
中学からのエスカレーター式の私立校だったから、
麻巳子とは中学からの親友ってことになる。
はじめて会った麻巳子は、お世辞にも美人とはいえなかった。
あたしほどじゃないけどま、同じ人種かな? ってとこ。
「よくいる二人組の女芸人」の太ってる方があたしで、
痩せてる方が麻巳子だと思ってくれればいい。
麻巳子は、あたしと一緒に短大の美容科に入学してから、急に派手になった。
化粧も覚えて、髪形も服装もいつもかわいくして、ネイルもきれいにして……。
合コンは、ほとんど麻巳子からのお誘い。
努力の甲斐あってか、麻巳子はワセダの男を捕まえた。
千葉出身、農家の跡取り息子で、
あんまりイイ男じゃないけど、することはしてるらしい。
麻巳子もやっぱり「DIY」に販売員として入社したかったみたい。
でも入社試験に落ちて、今は、聞いたこともないエステの勧誘員になってる。
会うたんびに「ノルマが、ノルマが……」ってボヤいてる。
だけど、痩せても枯れてもエステはエステ。麻巳子はエステに入社してから、
見違えるほどきれいになった。
そんな麻巳子と、昨日も仕事帰りにチェーンの居酒屋でご飯を食べた。
「みうなぁ、今、うちのエステキャンペーン中で、
この五千円のチケットを買えば、
三時間たっぷりエステの初期体験できるのよ。どう?」
「なんか、麻巳子のエステって、いつもキャンペーンやってない?」
「いやいやいやいや、今回のキャンペーンは本当にお得だからさぁ~。
どう? みうな。永久脱毛? お肌つるつる? 足ほっそり?
全部できるのよ~。夏に向けてさ、ねっねっねっ!」
「麻巳子ォ、あんたエステに入社してから、
会うたんびに勧誘の話ばっかするよね。
そりゃあ、あたしみたいな女が絶好のカモだってことはわかるけど……」
「そんな、長い付き合いのみうなをカモだなんて思ってるわけないじゃん!
絶対お得だからぁ。今度の休みにでも、五千円で三時間コース、どう?」
「しょうがねーなー」
結局あたしは、麻巳子に寄付をするような気持ちで、
その五千円のチケットを買ってしまった。




