vol.13【キツすぎる靴 第5話】
「ふざけるな!」
ついに、あたしの右隣にいた社長が宇崎に牙を向いた。
これにはさすがの宇崎も言葉を返せなかった。
「……」
静まり返る会議室。全員無言で、綺麗になったあたしの
セミヌード写真と社長を見比べている。
「いーじゃん!」
「いーじゃんねえ?」
「カワイイじゃんねえ!」
「最初の写真もインパクトあるしねえ!」
「そーそー『ブスカワ・デブカワ』って感じぃ」
「あんな子が実際にだんだん綺麗になるんでしょ? 面白いよ!」
「そーそー、面白い面白い!」
「絶対ウケる! いろんな意味で!」
(え……)
大会議室の下座の方から、キャピキャピとした黄色い声が飛び交った。
商品制作部、商品開発部、オフィスビルの一階にある
ショップ店長などの、若い女性社員達が大騒ぎしている。
「小澤社長。現場で働く若い女性スタッフには、
このプロジェクトが好意的に
受け入れられているようですが、どうお考えでしょうか?」
「う~ん、最近の若い女性というのは、悪趣味だねえ」
「社長!」
突然、目の前のえみり部長が立ち上がった。
「悪趣味とはどういうことですか?
わたくしも、一人の女として、このプロジェクトは
たいへん興味深いですし、女には誰しも、
こういった『変身願望』があるのではないでしょうか?
自分のルックスに自信のない若い女性に、
光を与えるすばらしいプロジェクトだと
わたくしは考えますが、いかがでしょう社長」
えみり部長の目は真剣だった。
「君が、そう言うのなら……まあ、いくつか問題点はあるものの、
実行するのを考えてみてもいいプロジェクトだとは思うがね」
オーーーーーーーーーーーーーーッ!
会議室に歓声が起こった。全員、宇崎のプロジェクトを好意的に受け入れたようだった。
「静粛に!」
しかし、その歓声は、社長の鶴の一声で一瞬にしてかき消された。
「宇崎さん、一つ聞きたいことがある」
「はい」
「万が一高木君が、このイメージどおりに綺麗にならなかったら、
どう責任を取るつもりかね?」
「はい。すぐに『DIY』から撤退し、
もし会社に損失が発生した場合は、
わたくしがその全ての責任を取る覚悟でございます。
もちろん『レパブリカ』も、社員はわたくし一人ですが解散し、
その全てを『DIY』の損失補填に充てる所存です」
(宇崎さん、本気なんだ……)
「ふむ。わかりました。このプレゼンの後、早急に社内会議をし、
宇崎さんに結果をご報告いたしましょう」
「ありがとうございます」
こうしてプレゼンが終わった。




